pure love

□幸せ日和
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『どうしよ…』




思い切って来てしまったが、普通に考えれば皆授業中だ。


大きな校舎を目の前にしてりんは一人取り残された気分になり、泣きたくなってきた。




「…りん?」




聞き慣れた声音に俯きそうだった顔を上げると、




『赤也先輩…!』



赤「やっぱりんか。びっくりしたー!」




ようやく知り合いに会うことが出来て、心から安心した。


赤也は体育の持久走で走っていたら、りんに気付いたと説明する。




赤「突然どうした?」



『あの、明日バレンタインデーなので///』




『これ…』と大きな鞄から綺麗にラッピングされた包みを取り出す。




赤「…俺に?」



『はい。先輩にはいつもお世話になってますから』




りんは恥ずかしそうに頬を赤く染めて、ニッコリと笑った。




赤「ありが「りん!」



『丸井先輩、仁王先輩!』




赤也が受け取ると同時に、丸井と仁王が早足で近付いて来た。




仁「赤也、いたんか」



赤「走ってる時気付いて…って、先輩達授業は!?」



仁「ブン太がりん見付けて急に走りだすもんじゃから、」



『!え、ごめんなさいっ』




授業の邪魔をしてしまったと思い慌てて謝るりん。

丸井は「気にすんなって」と首を横に振った。




『あの、これを先輩達に渡したくて…』



赤「(やっぱ先輩達にもか)」




りんの性格を知らなかったら、先程の態度や表情では勘違いしていたかもしれない…と赤也は染々思った。



ラッピングされたそれを差し出されて、二人は目を丸くする。




丸「…チョコ?」



『はい!お口に合うかわからないんですけど…』




中身は、チョコ味の小さなカップケーキ。
丸井は食べていいかと確認を取り、ゆっくりと口に運ぶ。




丸「すげー美味い…」



『!本当ですか?』




『良かったー』と嬉しそうに微笑むりん。
丸井の顔は見る見る内に赤く染まっていった。


それを見た仁王は、ニヤリと口角を吊り上げる。




仁「良かったのぅ、ブンちゃん。やっと好きな子から貰えて」



丸「な…!///」




更に顔を赤く染め仁王をギロリと睨むが、対するりんはキョトンと目を丸くする。

ずっと同じ表情でいたが暫くすると顔が赤くなり、俯いた。




『わ、私も…丸井先輩のこと好きです///』



丸「…へ!?」




予期せぬ言葉に本気で驚く丸井。


仁王や赤也も目を見開いてりんを見ると、俯いていた顔を上げて…




『仁王先輩や赤也先輩も…立海の先輩方はすごく優しくて、大好きです!』




はにかむように、ふわり微笑んだ。



ふと自身の腕時計を見て、ハッと気付いたように慌て始める。




『あの、これから他の学校にも行かなくちゃいけないので…
これ、幸村さんや他の先輩達にも渡して貰えますか?』



丸「…あ、ああ」




さっき渡されたのと同じものを預けられる。




『お時間取らせてしまってすみませんでした。じゃあ、失礼します』




りんはペコリと礼儀正しく頭を下げて、背中を向け小走りで去って行った。


呆然とその場に立ち尽くす丸井の肩に、ポンッと手を置く仁王。




仁「完全な義理チョコじゃの」



丸「………」




数分間の花が飛び散る程の淡いオーラから、今は冷たい風が吹いてるように見えて、




赤「(…天然ってこえー)」




と、心から思う赤也だった。





















一つ目的が果たせたりんは、次に青春台駅へと降り立った。


マネージャーのりんは青学へ行くことがもう習慣になっていた為、迷わず学校に辿り着くことが出来た。




『先輩達いるかな…』




もう昼時なので、中庭やベンチには数人だが学生の姿がある。


りんは取りあえず着いたことを知らせようと、携帯を取り出しメールを打った。



…その時、




「わぁ、りんちゃん?」
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