05/12の日記

19:30
植物を育てる火神君(未完、中途半端)
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はじめは、小さなサボテンだった

品種名もわからない、よくイラストでも見るような典型的な小さなサボテン
たまに思い出したように眺めて、渇いていたら水をやるだけで十分だったので、火神にもちゃんと枯らさずに育てることが出来た
それをきっかけに、火神はそれまで時間の余裕がないからと食わず嫌いのように敬遠していた植物の世話をしてみようかという気になった
要は、サボテンひとつを枯らさなかっただけなのに、調子に乗ったのだ
なんだ簡単じゃん、自分にも出来るかも
結果的に、火神は植物を育てることにあれよあれよとハマり、元々綺麗好きで小まめな性格もあってか、今では、火神の周りには植物があふれている


-植物のある生活-


火神大我が日本中誰もがその名を知るトップスターになったのは、まだ古くない過去のことだ
しかし現在、彼の名を知らないヒトは殆どいないが、彼の名前を話題にする人間も、もう殆どいなかった
若く美しい日本人NBA選手をあれだけ囃し立てていたメディアは、火神の脚の故障を話題に取り上げてから1ヶ月もしないうちに火神の名前を忘れ、
火神大我の引退と帰国の話題は、小さな小さな記事となり世間の波に消えていった
火神は有名になりたかったわけではないが、それでも現金なものだと苦笑して仕舞う
なにも隠し事などしていないのに何故かひっそりと誰にもバレないようにこそこそと帰国した気分になった
何かから逃げ隠れて仕舞いたい、そう思ったのは初めてだった
火神は、疲れていた
バスケが出来なくなった自分から、逃げ隠れて仕舞いたかった

アメリカに渡る前に住んでいた街に帰って来た火神だったが、懐かしい制服を見掛けるたびに、自分が今なにをしているのかわからなくなる
この愛する街に逃げて来たはずなのに、あの頃の面影を見付けるたびに今の自分とのギャップをまじまじと見せ付けられることに気付き、火神はもう嫌気がさして仕舞った
逃げよう
この街から逃げよう
幸い貯蓄はあったため、仕事を見付けるより先に、火神はその街からも逃げ出した
テキトーにいいタイミングの新幹線に乗り、随分と遠くまで火神はやって来た
持ち物は、生活必需品を詰めた少し大きめのリュックと、小さなサボテンだけ
バッシュを捨てたら、随分と荷物が、軽くなった
駅を出て少し歩くと、山が見えて来た
駅周辺はそれなりに栄えていたようだったが、少し外れれば本当に何もない
コンビニさえも数が少なく、ずっと歩けば田畑の広がるのどかな風景が広がっていた
テレビで見たことのある光景だ、と思いながら、やっと発見した第1村人へと話しかける

「すんません、ここら辺でどっかホテルとか泊まれる場所ってある、ですか?」

あるなら駅前だろうと言われたのをようやく聞き取り、火神は来た道を戻ることになった

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