12/30の日記

14:10
愛着を込めて(葉宮)
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くろフェスの、宮地清志の方が葉山に執着してたことと宮地がバスケ続けるってことを自分の設定と指し合わせるためにぐだぐだ落書いたものだったのに載せる直前にジャンネク発売、Strkyの存在やらなにやらで設定も脳内もぐちゃぐちゃになったけど勿体無いからこれはそのまま載せてやるーってやつ
ポエムポエムしてます
 



×××××





 
 
 
あんたのプレーに惚れたんだよね!
またやりたいなー
オレ、あんたのこと今すっごく気になってる

なんて、傷心なところに告白紛いなことされて、
あれってどういう意味だったんだ?なんて考えても頭は回らなくて、ぐるぐるぐるぐるそいつのことを考えてた
あぁこれから受験か、なんてバスケのない日常を思い浮かべどんよりしていた時に、さらに追い討ちを掛けるようにそいつがいきなり入ってきた
結局個人的にもチーム的にも敗北したかたちになり、忘れられるわけがない存在となったそいつに、惚れただとか気になるだとか言われて、
挙句、
またしようね
と無邪気な笑顔で微笑まれた、
オレの気持ちが誰かわかるだろうか
いやわかるはずがない
気を遣ってるのか試合についての話を一切しない弟に、まだ明日もあんだから早く寝ろ、と後ろから頭ひっぱたいて自分の部屋に入った後、ベッドに横になってからも、オレの出来のいーはずの頭のなかは既にキャパオーバー、混乱気味だった
煮え苦を飲まされた相手からの絶賛の声
嫌味かと思えるような言葉にはいっさい悪意がなかった
それが怖い
悪意なく、純粋な好意と好奇心だけで構成されたその言葉が頭の中をぐるぐる回る
意味はちょっと違うが女子に告白されることはたまにあった
しかしあんなド直球に『惚れた』だなんて言われたことはなかった
そう、オレにとっては新鮮だったのだ
あぁ、わかった、認めよう、
オレは嬉しかったんだ
オレのプレーに惚れたと言ってもらえて、嬉しかったんだ
悔しいが自分より格上の奴から認められる心境というのは、なんとも言葉にし難い
それは緑間のせいでなんとなく知っていたが高尾曰くつんでれの彼の言葉は素直じゃないものの方が多くて、
あんな直球に、惚れたと、気になると、言われたのがオレは信じられず嬉しかった
嬉しいという感情を認めて仕舞えばラクになるかと思っていたがそんなことはなく、まるで心臓が溺れるような、そんな生きづらさを感じながら眠った
あいつの言葉を受け入れ、ひとり溺れていた

しかしフタを開けてみれば、決勝戦が終わってからの奴の関心の先はもっぱら伊月俊そのひとで、
余程単純な脳の造りをしているのか、その前に試合してちょっとマッチアップしただけのオレの存在なんてさらっと忘れて仕舞ったらしい
会場の廊下ですれ違ってもオレのことはもう気になっていないようだった
ひどい気分だ
わかるだろう
ちょっと指先が触れたとか、ちょっと目と目が合ったとか、そんなことで勘違いして仕舞う男子中学生みたいじゃあないか
そう思ってやるせなくなった
認めるんじゃなかった
嬉しい、だなんて思ってやるんじゃなかった
あまりにも惨めで、あの言葉は試合後に相手を労う握手のような言葉だったのだと納得し忘れることにした
意外と簡単に忘れられる気がした
だってあんなの恋愛でもなければ友情でもない、情なんてこれっぽっちもない社交辞令だったのだから
少しでも情があるのかもしれないと恥ずかしい勘違いをしたことは忘れて仕舞おう
そう思って寝たら、次の日にはちゃんと忘れて仕舞っていたように思う
ただの恥ずかしい過去として、受け流すはずだった

「みゃぁじさん」

ひどくどろりとした声でオレを呼ぶ
腐りかけた果実のような、糖分しか含まれていないかのような声でオレを呼ぶ
そいつはまたオレの人生に襲来して来た
たまたま、高尾に着いて来た緑間に着いて来た赤司に付いて来ただけのそいつが、オレのことを思い出したかのようなトーンで「あっ」と言ったのがひどく不快だった
それから、転がり始めて止まらない
止まってくれそうもない
赤司に付いて来ただけのそいつと少し話してみれば、
あぁなんだ無冠だとか持て囃されてるけどただのいっこ下のガキなんじゃねぇか、とちょっと可愛く思えたから始末が負えない
生意気で可愛くないのは緑間や赤司と似ているが、弱さや脆さやもその二人と同じように携えていた
オレを負かした相手もちゃんと人間だったんだ、と、弱さを見せてくれた他校の後輩に多少の愛着を持って仕舞ったのが間違いで、
あぁ、今ではこいつはこんなにも、甘ったるい声でオレを呼ぶ
でろでろと、ただ砂糖を溶かしたような、熟した南国果実のような、そんなあまさでオレの隙間に入ってこようとする
ふざけるな
好きだなんて言うな
そんなの社交辞令、ウソだ
そうだろ?
だから

「さわるな!」

大学でまた始めたバスケがちっとも面白くなくて絶望しかけた時、力強いその手に触れられることで慰められて仕舞いそうになり、驚いて手を払った
指先だけ触れられた背中の熱に頭が沸騰しそうだった

「さわるな、オレにさわるな、勝手に入ってくるな、頼むからどっか行ってくれ…!」

そんな意味のわからないことを繰り返したと思う
そんなただの八つ当たりを、あいつは静かに、うん、うん、と相槌を打ちながら聞いていて、オレの声がやっと途切れると、最後に静かにそう言った

「好きだから、触っていい?」

いいわけあるか、と殆ど反射的に返していた

「じゃあ、好きじゃないから触っていい?」

「は?」

「好きなわけじゃないから、だから別にみゃーじを慰めたいとか支えたいとか、ましてや下心があるなんてことは全然ないから、好きじゃないから、だから、触ってもいいでしょ?」

意味のわからないそいつの理論に何故か論破されたのは、オレの一生の不覚なのかもしれない
大したことを言ったそいつは、たった二回だけオレの背中をぽすぽすと触った

「あのメンバーでするバスケが楽しかったんだ」

「そうだね」

「遊びの延長でやるサークルのバスケなんて、あんなのバスケじゃねぇよ」

「うん」

「バスケが好きだ」

「うん、オレもだよ」

「嫌いに、なりたくない」

「…辞めても、いいんじゃない?」

「…あぁ」

そんな会話をしたのは覚えている
甘えたくはなかったが、誰かに甘やかしてほしいとどこかで思っていたのかもしれない
その反する二つの感情がせめぎあうちょうどその隙間にそいつは入ってきた
ただ甘やかそうとするだけの手だったのなら、振り払えていただろう
出来なかったのは、イヤじゃなかったからだ
きらいじゃ、なかったからだ

そいつは、いつからかオレの家に入り浸るようになっていた
後輩に渡すついでに合カギを渡したら、変な顔して受け取った
いつからかオレの横に座るようになっていた
いつからか、オレを好きだと告げていた

「いつまででも待つよ」

覚悟が決まるまで

「オレと一緒に不幸になる覚悟が決まるまで、待つから」

お前と付き合ったら不幸になる
だなんてそんな優しさのカケラも思いやりもないひどいだけの言葉を、あいつから与えられた“好き”の数だけ吐き出した
それでもあいつはオレを好きだと言って譲らなかったし、それどころかそんな言葉をオレにくれた
ずるいのはわかっている
理解している
女が自分に好意を寄せている男をキープ君として手のひらに置いておくかのように、オレもあいつの言葉に明確か拒絶をせずにキープしていた自覚がある
ひどい話だ
客観的に見て仕舞えばあいつがあまりにも可哀想で、オレなんかに引っ掛かって仕舞ってキープされてるなんてあまりにも可哀想で、ならばせめて好きになれたらと思ったが、だけどきっと、オレはあいつを恋的な意味では一生好きになれない
あいつの身体に興奮はしないしあいつのために泣いたり出来ない
きっとこのままあいつが他の奴を好きになって、オレなんかどうでもいいと捨てられたとしても、きっと泣けはしないだろう
オレはそれを恋とは言わないが、だが、

「捨てられたら、とか…」

そういう言葉が出てくる時点でアウトな気がした
多分、好きにはなれない
泣けないし、幸せにもなれない
でも、
それでもいいと、奴は言った

「待っててくれ、いつまででも」

大丈夫、待つよ
そのかわり、保留期間が終わるまで、ずっとそばにいさせてね

ならばオレは、こたえなんか出さずに、ずっと保留にしておこう
ずっとそばにいてくれるなら、それは…

「つらくても、ガマン出来るよ」

「っ…!」

ひどく心が痛んだが、それでも好きだなんて言えはしなかった
好きになって仕舞えたら、オレも奴もどんなにラクだろうか
それでも、好きだなんて言えなかった

「お前は病的なくらいバカだな」

その身体に、興奮はしない
その唇を奪いたいとは思わない
好きだと言われてもときめかないし、
きらいと言われたとしても泣けはしない
それでも、
一緒にバスケをすれば気持ちは昂るし、そのうるさい口を塞いで仕舞いたいとは思う
好きだと言われれば嬉しいし、
きらいと言われたらぶん殴るだろう
独占したい、ひとりじめしたい、他の誰かに愛を囁くのはイヤだ
好きで居続けてほしいし、
そしてなにより、
好きになりたい

「宮地が好きだよ。一番好きだよ」

わがままなオレはオレのことばかり考える
その言葉をずっと聞いていたい
オレに懇願するように、苦く歯を食い縛るように、眉を下げて泣きそうになりながら、まるで好きでいること自体が幸せだとでも言うように少しはにかみながら
オレを好きだと言う言葉が、とてもとても好きだった

「みゃぁじさん」

とろけるようにオレの名前を呼ぶその声が、ムカつくけれど好きだった

葉山がオレに愛想尽かすまで、あとn秒
それはいつ来てもおかしくないゴールだが、好きだと言ってくれているその間、オレはぬるま湯をたゆたい続けるだろう
あわよくば、n秒があと百年続きますように
オレを大好きな葉山小太郎へ
お前をだいっきらいな宮地清志より愛を込めて

「はやま」

今日もお前の名前を呼ぶ
とろけるように
どろりとした糖という名の毒のように





END


 

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