夢2

□あの日から何度目の春を迎えたのか
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※雁夜生存。








「寒くはない?」

「ああ、大丈夫だよ」

「あの頃がとても懐かしいわ」

「…あまり思い出したくない出来事だったけどね」


雁夜は着ている着物を握り締め聖杯戦争のことを思い出す。色々とあった、人間ではなくなった髪の毛に動かない半身、これ以上の不幸せはないだろうと笑いたくなったが隣にいる名無しさんの手を握り締めた。彼女がいたからおれもこの場所で何度目かの季節を迎えられたのだ。


「すまなかった」

「今頃すぎます」

「そうか」

「ええ」

「おれの隣でよかったのだろうかと何度も考えた」

「わたしだって…同じことを何度も考えたこともあった」

「…これからも、一緒にいてくれると嬉しいよ」

「死ぬまでずっと…愛してるわ」

「名無しさん」


結婚などしていないが彼女はそれでもいいと根気よく隣に居てくれた、おれは名無しさんを愛している。桜の花びらが散っていくのを見ながら雁夜は名無しさんの頬に唇を寄せる。


「可愛い名無しさん、おれだけの名無しさんでいてくれ…」
















20120822


 

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