夢2

□作り物のキミ
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「どうして泣きそうな顔をするのですか」


女は言った、ただ冷たい視線をおれに向けながら間桐の血筋が憎悪の塊だと言わんばかりに。雁夜は溜息を吐きながら彼女ににこりと笑ってみせる。


「その苦しそうに笑う顔は好きになれません」

「そうかい、おれは君に対して笑ってあげることしかできないよ」

「どうしてそう思うのですか」

「・・・名無しさんだって間桐は憎いとは思わないのか」

「わたしはあなたに従っていればそれでいい」

「それも可笑しいとは思わない、か」

「なにが言いたいのです」


名無しさんの顔は無表情だが怒っていると雁夜は感づく。重たい体を立たせながら立ち尽くしている彼女の胸倉を力強く引っ張ってみせた。声を出すこともなく怖がっている表情すら窺えなかった。


「わたしを殺しますか」

「ははっ・・・殺さないよ、ただ試しただけだ。君は何をしても顔に出さないから面白くもない」

「そうですか」

「犯して欲しかったかい」

「雁夜がそうしたいなら」

「作り物を抱いても・・・おれが虚しいだけじゃないか」


間桐と関係がなければ名無しさんも心を失くすこともなかったはずだ。これも全て間桐のせいだ、作り物のキミを人間に戻すこともできないままおれは聖杯戦争を終わらせなければいけない。目が霞む、頬を伝いながら涙が一筋流れていた。


「泣いているのですか」

「泣いてなんかいないさ、雨が降ったんだ」

「その顔も・・・わたしは嫌いです」


作り物の女は一言だけ言い残すと悲しそうに笑って見せた。美しいや可愛いとかではない、おれを哀れむかのように笑ってみせた。





20120214




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