夢2
□恋は盲目。君に盲目
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年上に恋をしてしまった。人を好きになることはあまりなかったウェイバーが授業でも惚けて講師に怒られたこともあった。何度か話をしたこともあるが自分に対しての好意を持っているかもわからなかった。会いに行く前には必ずあれこれと会話の内容を考えている。一緒にいて楽しいのだろうかと溜息をつくことさえある。いつもの時間、いつもの場所に彼女はいた。
「こんにちは」
「こ、こんにちは。今日もここにいたんだね」
「ウェイバー君が来てくれるからかな」
「えっ。そ、そんなことは・・・」
「会話も面白いし」
会話も弾みながらたまに名無しさんの好きなものや家族の話を聞きだす。なんて可愛いんだろう、他人のことや勉強などどうでもよくなってくる。これが恋は盲目というやつなのか。名無しさんの読んでいる本は全て読んでみたくなってしまう、彼女が読み終わった後に貸してもらい寝ないで読むことが日課でもあった。
「あの本面白かったよ、また面白そうなのがあったら貸して欲しいんだけど」
「それはよかった。ウェイバー君にあうかなって心配だったの」
「そんなことないよ。名無しさんさんが貸してくれる本は面白いし」
「ふふっ。ウェイバー君は優しいね」
「優しくなんか・・・あの」
「どうかした」
「す・・・好きな人とかはいるんですか」
「好きな人、ウェイバー君みたいな人かな」
「っえ」
ウェイバーという名前を彼女の口から出されるとは思ってもいなかった。顔を真っ赤にしながらズボンを握りしめてしまう。このまま告白しても大丈夫だろうか?いや、恋愛の本を読んでみたがまだ告白するには早すぎる、断られても立ち直れない。どうすればいいのだろう。
「顔、真っ赤だね」
「うへっ」
「ウェイバー君みたいな弟、欲しいな」
「おとう、と」
異性にすら見られていないのだろうか。ここで諦めてしまったら駄目だ、もっと格好良くアタックしていくしかない。名無しさんに振り向いてもらうまで諦めないと心に誓った。折角二人きりでいる時間が楽しめると思ったのに遠くからあの講師の声が名無しさんの名前を呼んでいた。ケイネスだ。
「先生に呼ばれてるみたい」
「う、うん」
「また明日も会えるかな」
「僕と会ってくれるの」
「もちろん。明日はクッキー焼いてくるね」
「名無しさんさん・・・」
「それじゃあまたね、ウェイバー君」
名無しさんはケイネスがいる方まで走っていってしまった。気に食わなかったが明日も会えるということで我慢する。やっぱり可愛い、睫毛も長かった。いい匂いもした。頬を染ながら悶えていると理性を取り戻したウェイバーは嬉々と自室へと戻っていった。
20111211
(ウェイバー・ベルベットと一緒にいたのかね)
(はい。ウェイバー君いい子ですよ)
(・・・あんな底辺と付き合うことはオススメしないがね)
(やきもちですか?先生)
(うっ)
(あまり怒らないでくださいね)