onlooker
□Hello,hello.
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町外れの小高い丘にぽつりと立つ石塔。
そこに二本の青いヒヤシンスと、一本の黄菖蒲が手向けられた。
「....始まりから四年、終わりからは二年が経ったね......」
風が草や木々を揺らせば、そのざわめきで掻き消されてしまうくらいのとても小さな声。
声の主は石塔の前に立つ、一人の少女。肩までの黒い髪に、膝丈の黒いワンピース、黒のパンプスというどこまでも黒ずくめな姿だったが、右足には墓参りにはあまり相応しいとは言えない真っ赤な石のついた二連のアンクレットを見に着けていた。
少女は一度、祈るように若しくは詫びるかのように瞳を閉じてから、唇を動かした。
「ごめんなさい」
その声は今度こそ風に遮られ目の前の墓標にすら、届くことはなかった。
onlooker
001 __ Hello,hello.