貴方に出会えたこの奇跡
□4話
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タイムトリップしてきた沖田さんに半強制…いや強制的に今日から一緒に過ごすことになった私。
沖田さんはお腹が空いたといい、私は今朝食作りに専念している。
その間沖田さんは、私の様子を見ていたり、テレビを見ていたり…。
自由気ままに過ごしていた。
それはまるで猫のように…。
「沖田さん出来ましたよ!!…あれ?」
さっきまで、テレビを見ていた沖田さんの姿が無かった。
辺りをキョロキョロとしていると、ベランダのドアが開いているのに気づいた。
見ると背を向けて景色を見る沖田さんの姿があった。
「ここにいたんですね…朝食できましたよ?」
「ん?あぁ、ありがとう」
言いながらも景色を見続ける。地上15階にある私の部屋はまさに絶景だけど、こうしてちゃんと景色を見たことは一度もなかった。
「すごいなあ…僕がいた時代と全く違う…」
そう言う沖田さんの声は私には少し淋しそうに聞こえてしまった。
彼も今、孤独と戦っているんだ。
「大丈夫ですか…?」
「うん…。ちょっと皆のことを思い出してね」
皆のこととは新選組の人たちだろう…。その声はひどく寂しそうで切なそうだった。
当然だ…。いきなり自分が知らない所に来たんもん…。
私だったらきっと耐えきれない…。
「ははッ…やだな舞結ちゃんまで辛気臭い顔しないでよ?」
ポンポンと私の頭に手を置き、優しい笑みを浮かべた。
「でも、ありがとね」
凄く柔らかい口調でそう微笑むと、沖田さんは中へ入っていった。
その時から私は沖田さんに対する恐怖心は無くなっていった。
だって、今の彼は私と同じだから…。
沖田side→