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□31章
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殺気で金縛りにあっていると思われる千鶴の肩に、風間さんの手が触れようとした瞬間。
――…闇を、白刃が切り裂いた。
「おいおい、こんな色気の無い場所、逢引きにしちゃ趣味が悪いぜ……?」
「左之さん!」
「斎藤さん!」
「…またおまえたちか。
田舎の犬は目端だけは利くと見える」
「それはこちらの台詞だ」
槍と刀を抜き放った左之さんと斎藤さんが、風間さんから千鶴を遠ざけるように千鶴の前に立った。
後から駆けつけてきた土方さんは千鶴は後ろに下がらせた。
そして千鶴の前に出ると土方さんもまた刀に手をかけ、風間さんに厳しい口調で問い掛けた。
「…将軍の首でも取りに来たかと思えば、こんなガキ2人に何の用だ?」
「将軍も貴様らも、今はどうでもいい。これは我ら【鬼】と【巫女】の問題だ…」
「【鬼】【巫女】?
何をほざいてやがる。
…ふざけたこと言ってる暇あったらそいつを放せ」
「ふん。こいつらの価値も分からぬような奴に預けておく義理はない…」
「―――言うじゃねぇか…だったら力尽くで返してもらう…琳珈動くんじゃねぇぞっ!」
土方さんが凄まじい殺気を放ち、風間さんに刀を向ける。
キンッ、キンッと金属音が闇に響き渡り、目の前では激しい刀の打ち合いがおきている。
私がいるため、片手で土方さんの相手をする風間さんは苦戦を強いられていた。
「くっ…!」
「ほら、よぉ!!」
「―――っ…不知火!、こいつを連れていけ!!」
容赦ない土方さんの剣さばきに、流石に風間さんも厳しくなったのか不知火さんを呼ぶ。
「あァ?…―ったく仕方ねェなァ」
風間さんは土方さんの刀を受け止め、瞬時に現れた不知火さんに私を渡そうと拘束していた腕を放した。
「――…は、ぁ!!」
腕が自由になった一瞬を付いて私は、不知火さんのお腹目がけて拳を入れる。
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