さくらの誓い
□8章
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「凄い…」
勝負は何が起きたかわからないぐらい、あっという間についてしまった…。
千鶴が斎藤さんに峰を向け、大きく踏み込んだ。
刀が無防備な斎藤さんに触れると思ったら…。
――キィィィン…
辺りに、金属音が高らかに響くと、ガチャっと千鶴の小太刀が地面に落ちた。
刀から目を放し、千鶴と斎藤さんのほうに目を向けると、いつ抜いたか分からない斎藤さんの刀が千鶴の首元あった。
―――――いつか本で読んだことがあった。
"斎藤一は居合いの達人だ"と…
「これが、新選組組長…」
思わず鳥肌がたち、その場で身震いしてしまった。
「師を誇れ…。
お前の剣には曇りがない。
…太血筋には心が現れる。お前は師に恵まれたのだろう…。」
斎藤さんは呟くように言うと、千鶴の首もとに突き付けていた刀を鞘へと戻し、身を引いた。
沖田さんは、弾かれた小太刀を千鶴に手渡すが、手が痺れているようで、受け取った刀を落としそうになっていた。
「大丈夫千鶴ちゃん?…一君、女の子には少し手加減しなくちゃ」
「手加減したほうだったのだが…すまん大丈夫か雪村?」
「あ、はい大丈夫です」
斎藤さんは千鶴の手をとると痺れている指を解し始めた。
「――お前の腕は外に連れて歩くに不便を感じない腕だ。
…俺から土方さんと近藤さんに話をしよう」
「一君が認めるなんてかなり凄いことだよ?よかったね。」
ありがとうございますと、笑顔で返事する千鶴を見て一安心していたのもつかの間だった。
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