マルオカくんとフシギナお弁当屋さん
□本編
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マルオカは頼まれた注文を奥にいるシェフに頼んだ。
「くっさーん!丸の内弁当と南蛮チキン弁当1つずつね!!」
「……」
マルオカに返答せずそのシェフは煙草を一服し料理に取り掛かった。
このシェフタダものじゃない。人間でもないみんなに可愛がられているペット……そう猫だ。
黒猫だが白い足袋を履いているかのような手足、そしてお腹もまるで「よだれかけ」みたいに。
この猫の名前は「くっさん」。付けた理由はただ見た目が黒だったから。しかもただの猫じゃない。世界一ピカイチな料理人なのだ。各地を旅をしていて修行をつかんだそうだ。
そして店を建てるがアルバイトやスタッフを雇わない。何せ恥ずかしがりなのか、人間嫌いなのかも知れない。
たまたまマルオカにシェフの正体を見られ仕方なく雇うことになっている。
だから彼だけ掛け持ちをやらせているのだ。
頼んで20分後に頼まれた商品は完成した。普通はもう少しかかるだろう。
この猫こそ真の料理猫なのだ。
「…あいよ」
一言言ってマルオカに渡す。
この猫は用件がない限り、ほぼ一言で済む。
「んじゃ、行ってくるね!」
マルオカは自転車の籠に弁当を乗せて目的地へ向かった。まだ彼は高校1年だから運転免許は取れない。
「えっと…おばさん家はあそこかな?」
と地図を無視してこぎ出した。何せこのおばちゃんはお得意様だから地図を見なくても分かるし、家も大きなお屋敷なのだ。