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□空は今日も青かった
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いつも病室から見上げていた空は、窓に縁取られていてどこか絵のようだ、と感じていたのを今でも鮮明に覚えている。


「あれ、幸村君?」
「あ、ブン太」


今日は天気が良いから屋上に出て一人ご飯を食べていた。
そうしたら、パンを両手に抱えたブン太がやってきて、驚いた顔で俺を見る。


「珍しいじゃん。幸村君が屋上来るなんて、」
「フフッ、天気が良くてついね」
「確かにな。あ、隣ええ?」
「どうぞ」


前から思っていたが、ブン太の隣は心地良い。真田みたいに心配し過ぎないし、赤也みたいにギャアギャアと喚かない。
たまに言葉を交わす程度で、後はお互いに口を動かす。沈黙が続いても気まずくならないのが良いのかもしれない。


「あ、」
「ん?」
「その卵焼き」
「…あぁ、食べたいの?」
「おん」
「取って良いよ」
「サンキュッ」


俺のお弁当の中から卵焼きが一個消え、それがブン太の口の中に収まった。
こんな日々を過ごすのは、すごく久しぶりな気がする。いや、実際に久しぶりなのだが。


「…幸村君、」
「なに?」
「関東、負けちまって、ホントごめん…」


ブン太はそう言うと頭を下げて来た。確かに俺達立海は、関東大会決勝で青学に負けた。
真田も土下座して詫びて来たし、赤也も顔面蒼白していたのはまだ記憶に新しい。


「もうそれは気にしないこと、って言ったよね?」
「そうだけど…」
「気にしないの」


軽く綺麗な赤に染まった髪を撫で、にっこりと笑う。一瞬、ブン太の顔がひくついたのは気のせいだろう。


「今は全国に向けて、やらなきゃいけないことが沢山あるだろう?」
「そう、だよな!うん!やっぱ、幸村君が言うと説得力あるなー」
「そうかな?」
「うん!部長だな、て思う」


ブン太はそう言って、食べ終えたパンの袋ゴミをビニール袋に入れ立ち上がった。


「な、幸村君」
「ん?」
「退院おめでとっ。もう何度も言ってるけど、すっげえ嬉しいぜぃ!」
「…そうだね。ありがとう、ブン太」





病室から見た空は、どこか絵のようだった。
しかし屋上から見る、ブン太の隣で見る空は、とても綺麗な青色で、俺は胸が締め付けられるような感じがした。








空は今日も青かった

俺は生きる。
今日も、明日も、明後日も。
君の隣で。君と共に、
コートに君臨し続ける。

それが、絶対不敗を掲げた学校の部長、俺の使命だ。





10/05/04

『蒼薔薇会』様の企画に提出しました。
今回はどちらかと言うと、お友達風にしたつもりです。

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