gift

□背伸び
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赤也先輩はいつもキラキラしてて笑顔ですっごく恐い時もあるけど、根はやさしくて甘えん坊で。私はそんな先輩が大好きです。でも、私は先輩みたいに可愛くないし(これは失礼か)、背だって学校内でさえ一番低いなんて言われるし、童顔で幼児体型だし……。ああ自分で言ってて悲しくなってきた。

ま、まあそれは置いといて。こんな自信なんて皆無な私はその大好きで仕方ない赤也先輩になけなしの勇気をかき集めて告白したんですよ!そしたら笑顔でOKサインが出ました。もう私感無量。実は赤也先輩も私なんかを好きでいてくれたらしいです。全く喋ったこともないのに。ええ、接点なんて全くなかったんですよ。もうこれは運命としか考えられませんよね!?ね!?

でもって、その運命の人赤也先輩と今日は付き合ってから初めてのデートなんです!もう昨日の夜からわっくわくのドッキドキで眠れませんでした。(ああもうそんなところがおこちゃまなんだ)昨日の夜のうちに悩みに悩んだ勝負服を着こみ、薄く化粧もして、少しでも大人っぽく見せるために背伸びして新品のヒールの高いパンプスを履く。

準備万端。ではでは、愛しの赤也先輩の元へ…いざ出陣!


***

「赤也せんぱーい!」
「静奈!おっせーよ!!」
「すみません!ちょっとぼけぼけしてたら遅くなっちゃいました」
「…ぼけぼけって。静奈らしいな。ほら、行くぞ」

待ち合わせ場所には既に赤也先輩はいました。ああ私服もカッコイイ…!ってかこの会話すごーくカップルっぽくありません?いや、実際私と赤也先輩はカップルなんですがね!

さりげなく手を握られ、エスコートされる。ううむ、いつもは子供っぽい赤也先輩が凄く大人っぽい。たぶん今私顔真っ赤でしょうね。心拍数が異常に速い。

「あれ?静奈、今日いつもより目線高くね?」
「え?あ、今日はヒール高いやつ履いてるからだと思います!赤也先輩のためにちょっと背伸びしちゃいました」

てへてへと照れ笑いを浮かべながら赤也先輩の様子を覗う。…あれ?赤也先輩なんか複雑そう。なぜ。

「俺のためってのはすごくうれしいんだけど、あんまり無理すっと転ぶぞ?」
「こ、転びませんよ!ってうわあ!!」
「おま…!」

転びそうなところで赤也先輩の鍛えられた腕にがっしりと抱きかかえられる。あ、危なかった…!

「す、すみません…」
「はぁ…。静奈、背伸びしてくれんのはうれしいんだけど、あんまり履きなれてない靴なんて履くなよな?いつ転ぶかわかりゃしねえ」
「うう、ごめんなさい」
「いや、いいんだけどよ。俺が目放さなきゃいいんだし」
「いやいや!赤也先輩にそんなに迷惑かけられません!次からは気を張って歩きます!」
「(高いヒールじゃなくて低いヒール履くっていう考えはねぇのか…)そんなに気、張ってたらデート楽しめねえだろ」
「あああそれは嫌です!どうしよ…」

うむむと眉間に皺を寄せて考える。私の眉間は真田先輩をも超える皺の寄り具合だろう。

「だから、背伸びなんかすんなって」
「え、でも、私背低いし童顔ですし。少しでも大人っぽくして赤也先輩の隣に立ちたいんです!」
「あああもう!なんでわかんねえかなー。俺は、背伸びなんかしなくても、そのまんまの静奈が好きなんだよ!わかったか!?」

道中、足を止め、がしっと赤也先輩の大きな手に私の小さな肩を掴まれる。赤也先輩の真剣な瞳の中には驚いた私がいた。どうしよう、凄くドキドキする。

「あ、う、はい」
「よし。じゃあデート再開!どこ行きてぇ?」
「えええ!?赤也先輩決めてないんですか!?」
「いやあ、ぶらっとその辺歩こうかと」
「いや、別に赤也先輩とだったらどこでもいいですけどね!」
「…お前結構恥ずかしい事平気で言うよな」

赤也先輩が何かぼそりと言ったみたいだけど気にしません。私は今最高に幸せですからね!

背伸び大作戦は失敗でしたけど、なんか胸がほかほかする日でした。



背伸び
(子供な私は子供らしく!)

100501
蒼薔薇企画提出作品

これ誰だかわからん

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