Nobel

□百夜目の奇跡
1ページ/31ページ

4月25日
AM7:00


「こまち―!」
部屋の窓を開け、隣の部屋の小町の名前を呼ぶ。
ちなみに隣の部屋…といっても隣の家の…である。
もはや13年続いている私の習慣になっている。

カーテンが急に開き、不機嫌そうな顔があらわれた。

「うるさい。毎朝毎朝起こさなくてもちゃんと起きてる。直こそ…髪ボサボサじゃん。」
「嘘っ!」
慌てて鏡台の前に走る。何回も確認したはずなのに…。ボサボサ!?
「うっそ。」
振り返るとにやにや笑っている小町。
「もう!うざい!馬鹿明日から朝起こしてやんないから!」
「だから…前からいらないって言ってる。直こそ…明日から俺が起こしてやろうか?」
「結構です!!馬鹿小町ッ!!」
そう言って私はいきよいよく部屋のカーテンを閉める。

馬鹿小町。どんな思いで毎朝声かけてると思ってんの!?
いつもドキドキバクバクで…。
必死だっていうのに 。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ