Novel 4

□ひとめあなたに
1ページ/3ページ

「あぁっ…あっあっ……あン………………あ………………!」

くちゅくちゅと、混じり、とろとろに蕩ける。

あたしのうえで、苦しそうに頭を振るかれの表情に、あたしは涙をこぼした。

しあわせだ…
死ぬほどしあわせでしあわせで、死ぬほど苦しい。
苦しすぎて…その分しあわせだった。


…ハァ……ハァ…

荒い息遣いが重なって、視線が一度だけ交わる。

「……みゆき……」

辛そうな表情。


あたしだけを見て、あたしだけを感じて。
切なそうな表情だって、今だけは、わたしだけの………


ぎゅっと目を閉じる。

ドロリと、あたしのなかに吐き出された熱いモノに、あたしはひとりでしあわせを噛み締めた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ