Novel 4
□雪の降る夜に
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何処もかしこもイルミネーションに輝く街に、となりの男は苦笑した。
「…クリスマスのライトアップ、凄いっスよね」
調度客が居ない店内。
気を効かせて話かけてくれた同僚の言葉に、視線を巡らす。
ガラス越しに見える盛大なイルミネーションはなんとも見事だ。
「確かに。凄いよね」
「あーいうの見ると、電気代とか馬鹿にならないだろーにとか、環境破壊だとか思っちゃうんですよね、俺」
隣に立つ茶髪の青年。
いかにもああいうイベントが好きそうな若者に見えるけれど。
「じゃあ高城君はクリスマスのイルミネーション反対派なんだ?」
私の問いに、焦ったように言葉を濁す。
「え。ああ…いえ…綺麗だとかも思わないでも無いですが」
「うん。例えばあれは過剰すぎるかもね。やり過ぎ」
店の外に広がるライトアップを指差す。
脈々と続く光りのアーチ。
「でもそんなこと言ってたら彼女なんて出来ないんじゃないの?クリスマスのイルミネーションって恋人たちの絶好のポイントじゃん」
「松元さんこそ…彼氏とか居ないんじゃないんスか?」