Nobel 2
□成敗
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「どうしたのっ!その包帯っ」
月曜日。
真っ白い包帯で手足や頭をぐるぐるに巻かれたままに教室に足を踏み入れたわしに、クラスメイトはみな一様に目を見開く。
叫んで翔けて来たのは悦子。
結わえたおだんご頭をぴょこぴょこさせながら教室の後ろのドアまで険しい顔で走って来る。
「あんたそれまさかお祓い家業で・・・!!」
クラスメイトの中で悦子だけは唯一私の家業を知っている。
小学生の頃からの友達なのだ。
昔から彼女にはいろいろと助けてもらっている。
アリバイ作りとか、アリバイ作りとか、アリバイ作りとか…。
わし、酷いな。
今度彼女に謝ろう。
「悪い。悦子、声小さく頼む」
「あっ!ごめん」
彼女は、はっとした顔で頷くと、今度はちゃんと声を潜めて問い直してきた。
「棗あんたまたそれ…」
がらり。
突然教室の後ろのドアが開いた。
否応なしに二人の会話は遮られる。
ドアの側にいたわしと悦子、それとクラスメイト皆がいっせいに注目したその先にいたのは―――。
「ごめん、金見さん。俺の不注意なんだ。ちゃんと彼女を見ていれば…」
乱れのない服装に、艶やかな黒髪。
柔らかな目元に形のよい唇。
そして申し訳なさそうに下げられた眉。
こいつは、こいつは―――!
「相坂くん」
悦子の声がした。