boys
□初めましての転校生B
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「終わったー!!」
「お疲れ様です、沢田さん」
初日だったから、少し緊張してたのかもしんねぇ。
沢田さんの笑顔をみて、ちょっと力がぬけた。
穏やかな気持ちになる。
「んじゃ、帰るか」
「うん!かえろ、獄寺君」
「あ、それなんですが・・・」
つい眉をしかめたらしい。
沢田さんが心配そうに俺を見た。
「どうしたの?」
「あ・・・その、ここにいる知り合いに家は用意してあるっていわれたんですが・・・まだソイツにはあってないんで・・・家、わからないんです」
「あ」
おはずかしながら、と付け加えると、とたんに沢田さんの微笑みが見えた。
「大丈夫、ごめん。言い忘れてたね」
「え?」
「ここ、全寮制なんだ。きっと獄寺くんの知り合いもそのことを言ってるんだと思うけど・・・」
「そ、そうなんスか!?ったくあのヤロー・・・あとで締める」
「・・・物騒、だね・・・」
ははは、と笑っている沢田さんに代わって今度は山本がにかっと笑う。
「んじゃ行くかー!」
「・・・ったく、しょーがねーな」
――――――――――――
「ここだぜー」
「・・・」
「?獄寺?」
「広っ」
案内されてついたのは、学校から3分くらいのところにある建物で。
・・・城、といったほうがピンとくるような建物だった。
「ここに、住むのかよ」
「?おう!あ、そっか、初めてだとヒくよな、この建物」
「・・・まーな」
認めんのが癪だけど、まぁ結局はそれしかないから、と自分をなだめて頷く。
「俺も最初びっくりしたもんなー、それにくらべてツナ、全然だったろ?」
「さっすが沢田さんですね!!」
「あはは・・・ちがうんだって・・・。ビックリしすぎて何もいえない上に、さっさと建物はいっちゃえばいいかなって考えでさ」
「・・・沢田さん・・・可愛いっす!」
「はい!?いやいやいや使い方間違ってるから・・・」
「んじゃ、ほらほら、行くぜー」
山本に背中を押されて、建物に入る。
入った瞬間また絶句したのは言うまでもねぇ。
「何なんだよ!外見シックな城なくせして!中は金、金、宝石か!?とにかくキラキラしすぎじゃねーの!?」
「まぁまぁ、慣れるんだって」
すぐ横の壁なんて、壁とかかかってる写真のフレームとかに、きっとサファイアとかエメラルドとかの本物が埋め込まれてて。
「よく盗難にあわなかったな・・・」
「ほら、このガッコって基本的金持ち多いしな」
「あー・・・」
そんな中で、俺は何ももたずに転入したんだった。
「んじゃ、獄寺、ちょっと待・・・あ、獄寺俺と同じ部屋なのな」
「はああ!?ってか何で急にわかんだよ」
「ほら、むこうにいる人が、俺に『獄寺、山本、一緒』ジェスチャーしてんだろ?」
「んなの分かるかぁ!?」
その前に見えねえ。背がもう少し・・・いや、もっとあってゆうに山本を超えられりゃーいいんだけどな。
かなりむかついた。
「こっちだぜ、獄寺」
「・・・ったく」
俺の部屋、もとい山本の部屋は八階にあった。沢田さんはその隣の部屋で、ランボってやつと一緒らしい。
「じゃ、獄寺、山本、夕飯のときにね!」
「おう!」
「お疲れさまでした、沢田さん!」
ぱたん。扉がしまった瞬間、山本がこっちのドアをあけた。
「ほい、どーぞ」
「・・・」
中に入る、と
「てめ・・・」
「ん?」
「掃除しやがれええええええっ!」
「いてえっ!ちょ、獄寺ぁ!?」
「きたねーっありえねぇ!俺、今日から暮らすんだぞ!?二つあるベッドの内二つ占領(荷物置き場)してる上に、床なんてゲームだらけじゃねーか!」
「あ、悪り、さっさと片付けちまうな」
「・・・そーしやがれ」
そのあと、山本はその言葉のとおり、さっさと片付けた。
「おわったのなー」
「・・・ん」
「ん?」
ひょい、と手に持つものを差し出すと、ひょい、と山本の眉があがった。
「え・・・獄寺、これって」
「いらねーんなら俺がもらう」
「いや、いるいるいる!ください!」
「・・・ん」
てわたすと、山本は嬉しそうにそれをあおった。
渡したのはペットボトル。
その中身はただのスポーツドリンクだけど。
「うめえー!」
「ったりめーだろ」
「だな!サンキュ!」
「おう」
本当に嬉しそうに笑う山本に、こちらもつられて笑う。
「あ」
「あ?」
「獄寺、笑うと、すっげー綺麗なのな」
「はあああ!?」
「はははっ驚きすぎじゃね?」
「ちげー!おどろいてんじゃねー」
「ははっ獄寺面白ぇ!」
「うるせぇえええっ!」
山本に掴みかかると、くっくと肩をふるわせながらも、俺を逆に掴もうとする山本。
・・・やるじゃねーか!
ついついノって、バタバタと転げまわった。
「・・・うわぁ・・・」
隣の部屋からバタバタ音が聞こえるから何かと思ってみにくれば。
「・・・獄寺君、山本のこと嫌いみたいな節あったけど、良かった、普通じゃん」
ふう、とため息をついて、ドアの隙間から見える、じゃれあってる二人を眺める。
「・・・なんか・・・」
微笑ましい。
そう思って、そっと扉をしめる。
心配だったから来たけど・・・
邪魔しないほうがいいよね。
そのまま、また自分の部屋に戻るのだった。
END
&
to be continue・・・