銀糸

□月夜 T
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きっかけってか始まりはなんだったんだろ。

もともと住んでた・・・ってか今も住んでるけど、今は主にアジトに住んでるから、来るのは珍しくなっちまった俺のマンションにて。

別にこれといってすごいモンでもなく
ほんとに「些細な」ことでちょっとイラっときたらしい俺は、そのまま一方的に怒鳴っていた。

「ちょ、落ち着けって獄寺!」

ぐ、と抱きしめられると、相手の体格のよさにまたイラっとしてバタバタ暴れる俺。

「るせえええっ!てめーはいつもいつ・・・も・・・あ?」

「へ?」

「・・・んだよ」

そのとき、急に香った、バラのような香水。
クンと鼻をならせば、山本のその真っ白いワイシャツから匂ってきていて。
途端に頭の中で、何かがブツリと音をたてた。

「・・・てめー」

「え?」

「・・・昨日はちょっとボンゴレの会議みてーなもんがあって、」

「お、おう」

「・・・その会議のあとに、同盟ファミリーと話し合わなきゃなんなくて、」

「・・・?獄寺?」

「・・・そう、言って、遅くなるって、言ってた、よ、な?」

「お、おう」

一言一言かみ締めるように言っていた俺は、そこでキッと山本をにらみつけた。

「・・・そこまでして・・・っ」

「え?」




















「浮気したかったのかよ!?」

























「・・・え・」

途端、目を見開く山本。

けっ、図星かよ。

「てめーとはこれっきりだ!」

「・・・!ちょ、待ってごくで」

 「別れる」

「!・・・ごくでら・・・」

「じゃーな、馬鹿本。さっさとその女のとこにでも行っちまえ!」

「ごく」





バタン







何かを言いかけた山本の鼻の先で、思いっきり扉をしめてやる。

は、と気付けば、そういえばここは俺のマンションだったと気付いて、イライラする。

んだよ、野宿しろってかよ・・・


こうして俺たちの別居生活が幕をあけた。














月夜

























「・・・ってことは何だ、もともと中学ン時から付き合ってて?そろそろ同棲しようとなった。んで最近遅いなぁとか思ってたら、浮気されてた、ってことかぁ?」

「そーだよ」

「・・・それだけのために呼び出したのかあ?」

「だから、悪ィ」

「・・・」


マンションには帰れない
かといってアジトだとばれる
ってか十代目に何か感づかれたら申し訳ない



そう考えた俺のとった手段は。

ケータイで誰かを呼び出す。





「・・・んで、何で俺なんだぁ」








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