『っ、痛いよ、小平太』 わたしを強く強く抱き締める彼からは鉄の匂い。見知った忍び装束も朱く染まっていて。わたしの背中に回っている大きな手は小さく震える。ただ一つ変わらないのは少し高め彼のの体温。 『、小平太?』 「私は此処に居る?」 彼の震えは止まらない。自分が此処に在る事を確かめるように、わたしをきつく抱き締める。 『大丈夫よ、あなたはちゃんと此処に居る』 殺らなきゃ殺られる、そんなの分かってるわ、誰もが通る道なのよ、そう呟けば彼はわたしの寝間着を小さくつかんだ。 「…裏切り者が居たんだ」 『…………』 「私も、良く見知った顔だったよ」 この間まで同じ場所で一緒に学んできたんだからな、そう呟いた彼の腕に少しだけ力が入る。どうしたものか、急に鼻の奥がつんとする。こんなの、もう慣れてしまったはずなのに。 『………小平太、死なないでね』 これからきっと、あなたはたくさん命を奪わなければならない場面に出会う。わたしがそうだったように。それを全て背負えなんて言わないから、だからどうか、あなたは生きて。 裏切り者には死を (あなたには愛を、) --------------- 七松メンタル弱そう |