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□銀時
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『銀、お月さま』

「…おう。」


10月10日は滅多に雨が降らないって言われてるらしい。誰が言ったかなんてしらないけど。だから銀は天パなんだなって思った。それを銀に伝えたら、天パ馬鹿にする奴は天パに泣くんだよ!って言われた。別に馬鹿にはしてない。雨降らなきゃくるっくるにならないから、銀はこの日に生まれるべくして生まれてきたんだなって思っただけ。


『月、綺麗だねー』


真ん丸とはいえないちょっと歪んだ月はまるで銀みたいだ。銀は月を見上げておっきなあくびをひとつ。仕方ない、時刻はもうまもなく銀の日にさよならを告げようとしている。


『ねぇ銀、この戦、まだ続くのかなぁ』

「さぁな、どうなろうが俺たちは俺たちの道を行くさ。」

『銀の道とあたしの道は同じ方向に向かえてるかな?』

「どうだろうな、」


ここで銀がもうひとつおっきなあくび。さっきから曖昧な返事ばっかりする銀にちっちゃいデコピンをすると、涙目で睨まれた。そんな顔されても怖くないんだから。あたしは笑った。


『…銀、生きようね。』

「あ?」

『……銀時、生まれてきてくれてありがとう、来年も、その次の年も絶対言うから、』

「………」

『生きようね。』


銀がまたしてもおっきなあくびをひとつしたところで銀の日が終わりを告げる。明日からまたあたしたちは血の海を渡らなきゃいけない。でも大丈夫。理由があれば生きていける。あたしたちはきっと血の海を泳ぎ切ってみせる。銀と2人、歪んだ月に誓った。



過去は未来を作るため、
未来は今を生きるため









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銀ちゃんおめでとう!
(071010)


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