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□鏡音
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『もう、リンもレンもゲームならソファでやれって言ってるでしょ?』

「えーリンここがいい!」

『キッチンじゃ狭いじゃない』


あたしがキッチンに立つと2人はいっつもこうだ。元々一人暮らしだった我が家のキッチンは一人暮らしにしちゃ広いのかもしれないけど、3人はやっぱり狭い。ていうか2人が座り込んでゲームしてるから自由に動けないのだ。


「リン、マスターの側に居たいもん!ね、レンだってそうでしょ!」

「お、おれは別に!リンが来たから付いて来てみただけ!」


座り込んでこちらを見上げるレンを見ていたら、つい、と目を反らされてしまった。あたしは小さく笑って棚を指さす。


『ねぇレン、そこからホットプレート出してテーブルに持ってってくれる?』

「ホットプレート?うん、」

「ねぇマスター!リンは?」

『リンはこの切ったフルーツ』

「「フルーツっ?!」」


2人同時にキラキラした目で振り向いた。流石双子、リアクションもうれしそうな表情も、声のトーンまで同じ。レンに至っては重たいもの持ってるのにすごい勢いで振り返るから少しよろけた。


『ふふっ、ちゃんとみかんもバナナもあるから』

「やった!」

「バナナ!」


2人で顔を見合わせてしし、って笑う。リンはやっぱりお姉ちゃんだけあってしっかりしてるし、レンもたまにマセレンになるけど、こうしてると2人とも年相応の笑顔。かわいいやつらめ。


「ねぇマスター!なにするの?」

『んー?あ、レン、コンセント入れて』

「熱くするの?」

『うん、熱いとこ触っちゃだめよ』

「そんくらいわかってるよー」

「ねぇマスターってばー!!」


リンの質問に答えないでいたら、生地やらトッピングやら持ってるにも関わらずリンはお腹に突進してきた。ドスって鈍い音がするぐらいの勢いで。


『う、わぁ!リン!』

「だってレンばっかりー!」

『もう、危ないでしょ。あのね、クレープ作ろうと思って』


生地の入ったボールを見せればそれをのぞき込んで目を輝かせるリン。バレないように笑ったつもりだったけど「クレープ?!」っていきなり顔を上げるもんだからバレちゃった。むくれたリンを見てまた笑った。


「リンいっぱいみかんのせていいっ?」

『良いからそんなに乗り出さないで、火傷したら大変だよ。あ、レン!バナナだけ食べるのやめなさい』

「…え?た、食べてない!」

『…なんでそんなにすぐバレる嘘つくのよ』


興味なさそうな振りしてたレンもリンと同じように身を乗り出してて、あたしの手元を凝視してる。2人して同じ角度で身を乗り出して来てるのが面白い。


『……やってみる?』

「「やるっ!!」」




我が家の日常
(…マスターの分厚くね?)
(レンの方が上手だよマスター!)
(………。)









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満足!


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