Black World
□至上の愛3
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診てくれてる時のアイツの目ほど、優しいもんはない。全てを包んでくれる、言葉なんかいらない。
大抵オレも口が利けない位弱ってる事多いから、やって欲しい事も全部見抜いてて、それは片目になった時も一緒、吸い込まれそうな位優しかった。
笑うと、目がなくなるんだよ。
オレだけが知ってるアイツの最高の笑顔。
隠し撮りされた写真が以前アイツの病室に飾ってあったな。
心配させ過ぎると、泣きそうな瞳になる、その時が一番辛かった。
怒ると凄く眉間にシワがよる。あの瞳の時はアイツがマジで怒ってる時。
その時はちゃんと謝らないと、下手すりゃ射ぬかれるんじゃないかと思う位キツイ目になる。
以外と睫毛がしっかりしていて、凄く綺麗だと言う事や、漆黒の髪と瞳と眉毛。オレの金髪が綺麗だなんだいいつつも、アイツの黒い髪だって素敵なのにな。オレは大好だったんだけどな。
オールバックになると、ちょっと遊び人風でキザになるんだよ。仕事の時は何時までも簾の様に下ろしているから、幼く見えて、以外と童顔だし。
その簾から覗く目が、悪戯っぽかったり、真剣だったり。
あぁそう言えば、カット頼まれた事あった…。
小屋に居た時。
めちゃくちゃ緊張するんだよ。アイツの髪切んの難しくて以外と注文多くて。
左の前髪は切るなとか、規定だから耳は出せとか、後ろは衿に着かない様にしろとか、そのくせ、前髪は切るな、けど右側は切れとか…つじつま合わない事ばっかり言ってた。
一度頼まれた事がある。
髪を一房くれないかと…オレは躊躇せずに切り落とすと、すまないと、謝られたあと、大事に綺麗な紙に包んで大切に持ってた。
お守りにするんだって。
オレもそっとアイツのカットした髪を少し貰ってオレもお守りにした…。
その事だけは最後までばれなったな〜。
今もそれは手帳の中に忍ばせてある。
大切なアイツの形見。
そうだ少し前みたいに持って行ってもらおう…。
「なぁアル、少し髪を切ってくれないか?」
「えっ兄さん何すんの!」
「いいから切れって!!」
「わかったから!」
束ねた部分から少し拾い僕は鋏を入れた。
金糸からサラリと流れ、僕の手に残った。
何時の間にか、兄さんは手紙を用意していて封筒の中に髪を入れ封をすると兄さんは、封筒を大佐のスーツのポケットに入れた。
兄さんの瞳から又大きな涙の粒が零れ落ちた。