LOVE WARS 2nd
□二人何処かで…
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思わず、その髪にキスをした。
甘い残り香。
サイドボードに置かれた弟からの、置き手紙。
─この手紙が読めると言う事は、目が快復した証拠ですね。
左目は、治せないけれど、右目は、間に合ったみたいですね。
兄さんの事は、ロイさんに任せます。僕に出来る限りの治療を施しました。
しかし限界がありました。まだまだ僕は非力です。
兄さんの事、後はお願いします。
もっともっと勉強して…
兄さんを治したいです。
あまり兄さんに無理をさせない様に。
直ぐに無茶するから…─。
その先は、涙で滲んだ文字が列なっていた。
「やっぱりか…。」
私は、もう一度、鋼の髪に触れた。
鍛えあげたと言えど、細い線。白い肌…。
覚束ない呼吸。
あの時に、爆弾を踏んで受けた衝撃。その怪我は、アルフォンスの手によって治療を施され問題はないが、元々の身体までは、完全治癒とまではいかない。
寧ろ…前より悪く…なっている?
残りの手紙は、発作が出てしまった時の事やら、事細かに記入されていて、指定された先の引き出しを見ると、医療道具が一式入っていた。
「君の弟は無茶を言うんだね…私は医者ではないのに…。」
一つ一つのものに、メモがついており丁寧に記入されていた。
引き出しを閉めると、私は大きな扉を開けキッチンを探した。
何処の屋敷だろうか?
不思議に思ったが、大広間を見て気が付いた。
今では、すっかりと姿を変えてしまった。軍施設の一つ…。
それにしても人の気配を感じられない。
キッチンに辿り着けば、絵にかいた様に、物が置かれていて、冷蔵庫にも食料が詰まっていた。
私は、疑う事なく食材を手にすると、サンドイッチを作り、エドの為のスープを作った。
私達の部屋とキッチンが遠いのが欠点だが、私はワゴンに食料を載せ部屋を移動した。
扉の向こうから、小さな咳が聞こえる。
私は扉を開くと、背中を丸くしてシーツを掴むエドの姿が飛び込んできた。
「エド、大丈夫か?」
肩で慌ただしい呼吸をするエドの背中を撫で、先程目を通していた治療の指示書通り、小瓶に入ってるシロップを匙にとり飲ませる。
暫くの間、そう軍部に所属してからと言うもの、エドが発作やグッタリとしている姿何か見た事ない。
何が起きた…。
ふと窓の枠を見ると鍵が壊されて開かない事に気付いた。