For your LOVE

□ある日の事。
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雨強い横殴りの雨。


■■■■ONE DAY■■■■
    ―ある日の事―



扉をノックした。

「大佐居ないの?」

ノックしても返事はない…。
セントラルからの遠い帰り道だった。

「あたり前だよな〜、電気もついてないねーし…」

それでもオレは居ないものかと扉を叩く…。

「鋼の!!」

声は違う方向から聞こえてきた。

「大佐…」
オレは呼ばれた方向に向き変えると、眉間にシワを寄せた…そう真剣に怒っている時のアイツの顔が見えた。

「馬鹿者!こんな冷たい雨にうたれて!!」

鍵を取り出すと背中を押され部屋に押し込まれ、真っ赤な上着を直ぐに剥がされた。

「直ぐに脱いで…身体が冷える!!」

指先から音が響くと、直ぐに暖炉に炎が上がる…。

「早くシャワー浴びろ…」
それと同時に手を引かれ濡れた服のまま風呂場に突っ込まれた。
蛇口を捻るとお湯が出てきて風呂場に湯気が篭る。

大佐はオレの濡れた服を全て回収しどこかに消えた。
温かなお湯に浸かり髪を洗い、身体も洗う。終わると同時に脱衣所に着替えとタオルが置かれており素直に従った。

服もアンダーシャツも大きかった、そして扉のすき間から何かが投げ込まれた、包装されたままの新しい下着だった。

大佐のブカブカのシャツと多分これは半ズボンなのか?ウエストの紐をおもいっきし締め、大佐の居る部屋に向かった。

「こっちに来て座りなさい。」
暖炉の前のラグマット上の大きなクッションの上に座らされ、髪をガシガシと拭かれ櫛を通される。

「しんどくないか?」

そう言いながらも、さっきの怖い顔とは打って変わっての心配げな顔がオレを見ていた。

何時もの様に両手が耳や首筋、喉元、リンパ腺の辺りを確かめる様に指先が触れてきた。喉元に触れた時にアイツの顔色が変わった。少したりとも、オレの表情を大佐は見逃さない。
「口あけて」

抵抗すると多分怒られると思って言う事をきいた。

「やっぱり、腫れてる…ツバ飲むのも痛いんじゃないのか?」

相変わらず悔しいのと確実に言い当ててくる大佐に逆らえずオレは素直に返事した。

「痛い。だから来た…。大佐なら何とかしてくれると思って…。薬局もしまってるし…」

「けども、医者には行きたくなかった…か?私が何とかしてくれると思ったのか?馬鹿者。私は医者ではないぞ…」



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