For your LOVE
□風邪と林檎と大佐
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「ねみぃ寝かせてくれ〜。」
「鋼の、ノックするようにあれだけ、忠告しただろ。」
「あっ、ワリィ。」
人の執務室に入るなりこれである。
上官(完全になめられている時があるが…)に対する態度とか、どれだけ注意しても、直りもしないし、直す気もないらしい。
「鋼の!」
もうソファーの上では、クウクウと鋼のが眠りにつく。
さすが上官クラスの部屋のソファーだ、実に寝心地も良いし何よりも上質だ。
「鋼の??」
寝顔が可愛すぎて、グラリときた心をロイは抑えるのが大変だった。
上官に片膝立てさす強者、そっと覗き込み、触れたいのを我慢しながら自分のコートを思わずかける。
「仮眠室もあったのに。」」
寝床を取られたロイは両手をあげ、残念そうな顔をして机に戻り、書類との格闘を再開した。
昼からの陽気が差し込むこの部屋。エドは眠りからまだ覚めない。
「あらっ、大佐真面目に書類に取り組んで下さってるんですね。」
と、にっこり。
中尉がトレイに煎れたてのコーヒーを持って入ってくると、部屋の中にいい香りがただよった。
大佐は思わず、口元に指を寄せ、静かにの合図を送る。
ソファーの上でクウクウと眠り続ける、エドに気がつくと、リザはお茶を置いてにっこり笑うと、部屋を出ていった。
中尉が容れてくれたコーヒー飲み干すと、いまだに起きて来ない、エドを片目に再度書類と格闘を再開した。
あまりにもの起きて来なさそうな雰囲気に大佐は一抹の不安を感じながらも目の前の書類を片付けた。
「おい、鋼の起きろ。」
肩を揺さぶるが返事がない。
まさか、又熱…やっぱりそうか…。オデコに手をやると…
あっちゃー
「鋼の、鋼の“又”しんどいのか?」
以前も珍しい位静かだと思ったら、熱をだしていた。自覚がないのか、言われないとわからないのか。
無茶が過ぎるからな…。
ちょっと気にかけといてやらないと、何をやらかすやら。アザを増やすのも常習犯で。何か余計な事をやった。やってきたは、大佐には全てお見通しである。
背中に触れれば、痩せた事や、以前骨にひびを入れてしまった時も触られただけでばれてしまう。
そしてお小言が続く、まるで姑だ。
「仕方ないな。」
起きそうにもないので、横抱きして車に乗せ、病院に寄る。
一度目を覚ますが、もう少しと言う事だけ言って、また眠りだす。