For your LOVE
□指ぱっちん御礼7
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大佐?
背中を撫でてくれてた
大きな手の平がオレを慈しむ様に触れていて、なんとも言えない心地好い感覚で、呼吸も楽だし、痛みも消えていて、大佐の優しさを知った様な…。
「目が覚めたか?気分どうだ?」
背中を撫でてくれてた手が離れ、身体の向きをそっと上向けにしてもらった。
おでこに手の平が触れて、にっこりとアイツの三日月の様な唇の口角が上がる。
「もうちょっとかな?。」
間合いを見て医者が入ってきて、大佐がオレのシャツのボタンを外す。
鞄から聴診器が出てきて、時間をかけて胸の音を聞いている。
「もう少し様子見ですね。」
「えっ…」
突然、オレの目から何がこぼれていく
オレ何で泣いてる?
大佐の顔がびっくりしている様だった。
涙を拭われ、顔を拭われ、大嫌いな注射の痛みで顔を歪め…みっともない姿を晒し、それでも大佐は、柔らかな声でオレの名前を呼び、励ましてくれてた。
ベッドが沈み、腰に手が回れば、アイツの腕の中に囲われる瞬間。
ジッと我慢してた涙が、馬鹿みたいなあふれて、ガキの様に泣きじゃくって、大佐を困らせた。
「誰も見てない…。」
嘘の様な弱い力のエドの腕が、しがみついてくる。
何時もなら野次罵倒を飛ばしながら私に刃向かい、私の腕にあおあざを残す勢いなのに。
鼻の奥がツンと痛む。
どうしたものかと…
案の定、陽が傾きかける頃にエドの容態が悪くなり、軍の病院に連絡を入れ、受け入れてくれないかと頼んだ。
後部席のマダムにエドを託し私は車を出す。
夕方に再度診察を受けて、病名を伺えば…
まさかと思っていたが、予感は的中していた。
私が幼い頃に頃にかかった流行り病と一緒だった。
マダムが隣で呟く、
「坊がちっちゃい時と同じ景色を私は又もや見ているよ。あの後坊は、泣き泣き手術を受けて…覚えてるかい?」
「覚えてません…。」
「そうかい…、と言うことは、この後、二人とも派手に医者に怒られるよ…」
直ぐに運ばれ手術を受けたエドは暫くの間別室対応になる、少しだけ顔を見せて貰うと、真っ青な顔をした小さなエドが横たわっていた。
麻酔が効いていてよく眠ってはいたが、痛々しい姿で、自分の中で後悔の渦が巡る。
手術の前後に泣いたのか、涙の跡が残っており、私はそれだけ拭わせてもらうと部屋を後にした。
マダムは外にタバコを吹かしに行き、私は待合室の椅子に座りこみ、空をあおぎ
そして私は目を閉じた。