Black World

□至上の愛5
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明け方の欝すらとした光が兄さんの頬を照らした。

顔色は真っ青で細い息をしていて。


それを中尉はじっと眺めていた。


「兄さん気がっ」


あっという間の出来事で兄さんの目覚めると同時にガウンの衿を握り絞められていて、中尉のビンタ空を切り兄さんの頬に当たって、真っ赤になった。

「エドワード君!!」

中尉の怒りは凄かったと言うか、兄さんの事を本当にちゃんと考えてくれていて。

「自分の行為を恥に思いなさい!!こんな甘い考えでロイマスタングが喜ぶとでも思ったの?会える訳なんかないでしょう!!大佐の数々の想いをわかってないの?感じ取ってないの?

 大佐はね、何時も何時もエドワード君の事を一番に考えていたのよ!
大佐の託された想いを受け止めてないの?」


「中尉…」


「葬儀には、車椅子に乗せてでも連れてゆくから…。」



一瞬の剣幕だった。


兄さんも僕もリザさんも大号泣で、僕は初めてこんなにも号泣するリザさんを見るのは初めてだったかも知れない。


リザさんは一度家に戻り、暫くすると兄さんと僕の喪服を届けてくれて、ハボックさんが車椅子を押して部屋に入ってきた。

兄さんの着替えを手伝い、身支度が出来ると僕達は町の教会へ向かった。



兄さんと大佐が好きだと言っていた、ナナカマドの緑の濃さが眩しかった。
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