Black World
□至上の愛4
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こぼれ落ちた涙は、大佐のスーツに落ちて涙のシミが残った。
やがて消えて無くなって…、
兄さんが愛した大佐は、明朝には荼毘にふされる
「兄さんは、此処で眠るんだよね。中尉は上の部屋使ってください、少尉は下の部屋使ってください。僕、兄さんの部屋借りるよ。」
「あぁわかった。」
「皆様お休みなさい。」
「兄さんも早く寝るんだよ。」
「わかった。」
エドの左手が上がった。
僕は全然気づかなかった。兄さんの様子がおかしくなっていたことなんて。
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置いて行かないで…。
置いて行かないで…。
何で行ってしまうの?
何で行ってしまうの?
問い掛けても何も答えてはくれない答える訳もない。
「何で行っちゃうの?オレの事置いて、何か言ってよ。」
「大好きだって、前みたいに何度も言ってよ…。」
耐え切れず悲しくなっては大佐の身体を揺すり答えを待った。何も言わない何も語りもしない亡きがら…。
「オレを置いて行…。」
「あぁそうか、オレがそっちに行けばいいんだね…。」
「怒られるかな?」
隠し持っていた小さな小瓶とナイフと…。
「そっちに行く。」
「その前に最後のキスをさせて。」
小瓶の液体を口に含み、近くのワインをボトルごと煽った。
首筋に手を這わせ唇を寄せ、軽く衿を下げると、小さな華を咲かせ衿で隠しては、もう一度見つめ直し、眼帯をめくりその目と、唇に最後のキスを落とす。
「ありがとう。
ごめんなさい。
オレも行く。」
右手に握り締めたナイフが左手に朱い筋を作り、更に力を込めて裂いてゆく。
床に落ちる真っ赤な華。
そしてそれはドクドクと心臓のリズムと共に溢れ、熱いエナジーがジワジワと音もなく広がる。
意識は直に奪われ、何も感じない、冷たい眠りを誘う。
長い金糸がさらりと流れ身体は傾き力を失った。身体は崩れ柩の横にバサリと並んだ。
オートメイルの右手だけが柩の縁を握りしめたままで…。
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「う゛わ゛ぁっー!!
兄さん!!!!!」