Black World

□ミュンヘンにて…。
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「アンタ何してんだよ!!」
激しい雨の降る中だった。


「門はどうしたんだよ!!この無能大佐!それと何だよ相変わらず似合わねー眼帯して!!」

エドはロイの制服の胸元を握りしめだらーんとしたままの大佐に野次罵倒を続けた。

「兄さんダメだよ!って!似合わないとか!また言ってる!大変すいません兄が…」

アルは大佐に責任を押し付けてこっちに来たもんだからなにかと肩身が狭い。


「とりあえず門には警備をつけてある。そんなにがなるな!鋼の…」

「オオバカ…!」

「兄さん!大佐をもう離してあげてよ!!ケガもしてるし!」


「殴らないと気が済まない!!」

「兄さんダメ!!」

左のフックが飛び、眼帯がズレて水溜まりに落ちた。
「気が済んだか鋼の…。」
「アンタ何で避けないんだよ!!」


水溜まりから眼帯を拾いあげると、濡れたままの眼帯を着け直した。

「嫌われたものだな…。」
ロイはフラフラと立ち上がると、寂しげな目をしてエドを見た。

「あぁもう兄さん!!
大佐大丈夫ですか?」

アルは戸惑うばかりである。

「とりあえず、帰ろ、アンタが此処に居ると面倒な事になる。来いよ…此処で倒れられても面倒だし。」

「兄さん…。」


土砂降りの雨の中三つの影が移動してゆく。
ハイデリヒ亡きあともこの、アパートメントで世話になっていた。


「あっ大佐…これ使って下さい。タオル着替え、置いておきます。」

「兄さんも着替えて、でなきゃ二人ともとりあえずシャワー浴びて来てよ!風邪ひくよ!」

面倒見の相変わらず良い弟が、大佐の制服に指をかけて脱がしにかかる。

「兄さんもコート脱いで!二人とも!早く!身体冷えちゃう!」

自分の事などお構い無しで、二人の世話に走る。あれから二人は口もきかず黙したままだった。

シャワーを借りて泥を落とす。殴られた後が痛むがそれは仕方なく…。


客室に通されて、アルは変わりの眼帯を持って入ってくる

「乾くまでこれしといて下さい。
アルは消毒するとガーゼをあて白い眼帯を着けにかかる。

「あれっ大佐…顔が朱いよ熱がある?」

横になるように勧めて様子を見る。引き出しから体温計を取り出すと大佐の口の中に突っ込んだ。

「大人しくしといて下さいね。

世話やきなアルは手を貸し横たえるとバタバタと階段を下った。
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