WonderfulWorld
□WonderfulWorld8
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私は一通りの荷物を片付け、トランクをクローゼットに入れた。
時計の針が退出の時間を知らす。
「明日も来ます…。」
今日も変化はなく、症状は落ち着いているようだが、まだ微熱が続く。
そしてエドワード君に至っては…ずっと高熱が続いたまま快復の兆しはなく、カラクリ仕掛けの霧が出てくる装置が離せない…。
昼夜を問わず苦しそうな呼吸が続く、
時折
「大佐…大佐と…
消え入りそうな声で呼んでいた。
────私は、突如突き付けられた、現実に私は血の気が引いた。
神様は残酷だ…。
そんな言葉だけでは片付けられる物ではない。
エドワード君はそれを薄々感じていたのかも知れない。
見えない力…。
二人を繋ぐ愛にも似た不思議な力を…。
私は我慢すると、泣かないと決めていたのに二度と…泣かないと決めていたのに…。
屋上に飛び出し大声を張り上げた。
躊躇なく…。
────「中尉交替っすよ…。
ドアをノックしとみても返事がなく、一枚の紙切れが床に落ちていた。
中尉がこんな事するハズないよなと思いながらも、
部屋を見回した。
俺は、腕に何かを感じて振り向くと何か言いたげな大将が裾を引っ張った。
「どうした大将?
「中尉…お くじょ…。
「中尉屋上にいるのか?こんなにも寒いのに…。
大将は上を向いたまま左腕を引っ張り出し、顔を拭っていた。
俺はその書類を見て、
病室とわかってるハズなのに大声を張り上げてしまった。
「わかった、大将!!
俺は屋上に向けて階段を駆け上がった、
「中尉!!
中尉何処っすか!!
薄着のまま飛び出した中尉が雪の中で突っ伏して泣いていた。
「中尉、中入りましょうや、こんな寒い所に…
俺は着ていたコートを中尉に掛け階段の踊り場に移動した。
一部の関係者に伝達され、時折訪問者が出入りした。
穏やかな顔で眠り続ける、カラクリ仕掛けの機械達がリズム良く動き、彼の命を繋げている…。
何か声をかける訳でもない、ただ一礼してその場を去る。
無機質で感情もなく…。
ただ時間だけが無駄に消費された。