SAKURA SAKURA
□サクラサクラ序章
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けれども、その様な場合に使う薬は強く、ただでさえ弱々しい呼吸を止めかねないので、目が離せない。
そして、真っ赤に腫れた目がトロンとしだして身体から力が抜ける。
意識がある時は、凄く嫌がるので、この合間に酸素マスクをあて呼吸を楽にさせ、落ち着かせる。
意識がある時に、当てても嫌がって外してしまう、
「自分でちゃんと息出来るから、要らない、そんなもんに頼りたくない…そこまでオレは悪くないよ…。」
酸素吸入を開始すると、顔色が戻ってきて、やっと何時ものエドの表情が帰ってくる。
けれどもその事は、本人の身体からかなりの体力を奪うので、この後の症状から目が離せない。
ペインコントロールに関しては、眠ってる隙間に注射や点滴で、目が覚めていて元気そうな時は、水薬を飲ませてみるか、座薬を使う。
どっちにしろ、この痛み止めを使う行為も本人は凄く嫌がったけれども、使わないといけないと、迷惑をかけると思いだして…。
本当は施したくない…。
逆に小さなこのコの命を短くしてしまうからだ…。
けれども、痛みからの恐怖から解き放たれてからは、笑顔を見せたり、ゆっくりだが、お話したりする事も増えた。
何せ、声を出して笑ってくれる時は皆も癒され、共に笑ったりして。
大将が『一番好きなんだな』と言うのが、大佐の家のリビングか、たまに軍部の執務室か、全員が揃う時。
ハヤテ号もきちんとおすわりしていて、3時のティータイム。
この瞬間が大好きだと言う。
部屋の中は、お菓子やら、お茶の甘い香りや香ばしい香りに満ちる。
この時ばかりは、突然『自分で座るから』と言うので身体を起こしてど真ん中で囲う様に座らす。
ちゃんと大将の甘いミルクティーも用意する。
ちゃんと自分でソーサーを持って、ゆっくりと口にする。
全部飲み干す事はできないけれども、美味しいと繰り返しては笑顔を作る。
そして、目を開けていると言うのは以外にもつらいみたいでまぶたを閉じてしまう。
けれども俺達は遠慮なく雑談を繰り返す。
その会話を聞いているのが大好きだと言う大将。
寝息が聞こえてきたら、そっと横たえてやる。
皆も笑顔になる。