Novel

□証
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夕方。部活が早めに終わった平古場と甲斐は、食堂で話していた。

「だぁかぁらぁ…お前それ、好かれてるよーには見えねーよ!」
「…」

甲斐の恋人、木手永四郎について。
甲斐は、木手が最近冷たい気がして悩んでいた。

「じゃあさ、永四郎に言ってみろよ」
「なんて?」
「お前最近冷たいだろ、今キスしろ、しなきゃ別れるって」
「むっ無理無理無理!」
「自信ねーの?知念はしてくれたぜ。とにかく、俺は先帰るな。まぁ、お前がえーしろーのことそんなに信じてるなら聞かなくてもいいけどよ」

平古場は多分、知念との仲を自慢したいだけなのだろう。
それはわかっていても、なんだか悔しかった。



「甲斐クン、まだ帰っていなかったんですか」

飲み物を買いに来たのだろう、木手がこちらに歩いてきた。

「あ、木手…」

平古場に見返してやりたいし…言ってしまおうか?
考えるより先に、声に出ていた。

「っ木手!俺にキスしろ!じゃないと…えっと、これから距離おくからな!」

流石に別れるとは言えなかった。
食堂に居たのが甲斐たちが付き合っているのを知っているクラスメートが多かったのが救いだ。

「…甲斐クン…」
「なっなんだよっ」

やってしまった…とは思っても引き返せず、ビクビクする甲斐の頬に掠める程度のキスをすると。

「ちょっと来なさい」

と言って、木手は部室へと行く。

残されたクラスメートは、『またやってるよあいつら…』と思いながら、帰りの支度するしかなかった。
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