スプラッシュ!!-sprush-
□電世一_始まりはいつも
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――――頭が、痛い。
意識が戻って一番に、そう思った。
「あ……ぐ」
情けないうめき声を発しながら、俺は立ち上がる。……………………お?
体の感覚が、変だ。
なんか、全体的に重い。特に四肢が重い。お陰でバランスが取りにくくて、ふらふらする。
手の甲で目をこする。ん、何か違和感。
「う……おあっ!」
直後、俺はあまりの驚きに、目を見開くこととなった。
今、俺の目に映っているのは……雄大に広がり、緑があふれる大草原。
画面の中じゃない。確かにそれは『景色』。俺の、目の前に広がっている。
そもそも、ディスプレイがない。というか部屋すらない。つーか、明るい。
「…………あ、はは」
一つ乾いた笑いを漏らすと、膝に力が入らず、どすんとその場にへたりこんだ。
苦笑いのまま、雲ひとつなく青い空を仰ぐ。よし、状況整理だ。
ああ、確かに俺はさっきまで部屋にいた。それは間違いない。じゃあ何だ? なぜ俺はこんなところにいる?
…………と、考えつつも。
「なるへそ。リアルセンスって、そういうことか……」
実はしっかり理解できた自分がいたりした。……ゲームの世界に入っちまうシミュレーションなんて、脳内でこれまでに幾度となくしているさ。なぜなら俺は中二病だから。風呂では基本、アニメのセリフを叫んでるぜ。
一応言っておくが、俺は傘を猟銃に模すタイプじゃあない。長剣に模すタイプだ。
なにはともあれ、ここは十中八九、『アナザー・グラウンド‐R』の中だろう。これといって他に思い当たる節も無いし、それにこの草原には見覚えがある。
アレだ。あのインストールしてたときに出ていた、画面の背景。それとまったく同じ光景が、目の前に広がっているのだ。
何より、感覚がある。五感で感じ取っている。草の匂い、太陽の光。