魔法/狼 助教授主人公
「先生。準備終わりましたよ」
「あ、ありがとう」
「…ルーピン先生。ボーっとしてどうしたんですか?」
大好きな紅茶と私がお茶うけにともってきたハニーデュークスのチョコレートを前にしても手も出さずに何か考え込んでいる先生。
「ねぇ、君。私の隣に座ってもらってもいいかい?」
ぽんぽんとソファのあいているスペースをたたかれて私はおとなしくそこに座った。
少し距離が近いから先生のとなりは太陽とチョコの匂いがかすかにする。
また、空き時間に塔のてっぺんでおやつにチョコを食べてのんびりでもしてたのかと思うと少し先生がかわいく見えた。
とか考えてた瞬間私の視界はぐらっと揺れて気づくと目の前にルーピン先生がいた。
「…って。先生?!」
「ねぇ、あのチョコのパッケージちゃんと見て買ったかい?」
「いや…少し急いでたので目についたものでおいしそうだったものを買いました…けど」
「…そうか。残念。今度からちゃんとパッケージも見て買わないとだめだよ?私は狼なんだから」
私の上に覆いかぶさっていた先生はそこからどいて紅茶を飲み始めた。
ソファに押し倒されたことで真っ赤になった顔を何とかしようと思いながら起き上がってチョコのパッケージをよく見るとかわいいアリスのイラストとピンクに光る文字が立体的に浮き上がっていた。
"Love for you. eat me!"
「す、スミマセンでした先生!」
「別に食べてもよかったんだけどね?」
「いや、そんな意味で買ってきたわけではなくて…本当によく見てなくて。あ、で、でも……べ、別に、た、食べられてもよかったです…」
「…ほんとに?」
今度は普通に近寄ってきた先生に思わず後ずさる。
「逃げるくらいなら言わないほうがいいよ?」
「ぜ、善処します…」
うつむく私の鼻にちゅっとやさしく先生の唇が触れて、先生は離れてチョコを開けた。
「今はこれくらいで勘弁しておいてあげよう。ほら、お茶にしようか」
「あ、はい」
「どれから食べたい?」
「先生はどれからがいいですか?」
真っ赤な顔のまませめて普通に接しようと聞き返したら、先生は笑顔で答えてくれました。
そのひと言で私の顔はさらに真っ赤になったのだ。
「私は…そうだな。君がいいかな」