めいん(momo)

□心地良い空間
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突然ではあるが、俺は親が大嫌いだ。俺が幼い頃から変わらず、自分勝手で自己中心的。自分の意見ばかり押し付けて、俺の話は聞きもしない。まるでしっかり教育をしているんだと言う顔をして、実はそうじゃなく、見た目が気になるからその振りをしているだけの親。そんな親に我慢の限界がやって来て、独り暮らしを始めたのが、去年。俺がまだ高校一年の時だった。
あれから一年経って、俺は高二になり、それなりに成長をしたと思ってはいるが、どうやら両親は何一つ変わってないらしい。


「――……で?リオは何しに来た?」
「無理。何なの、あの親。」
「頭がイカれてんだ、仕方ねェだろ?」
「ンな次元じゃねぇじゃん!ねぇ、にーちゃん、オレ限界!無理、暫く此処に置いてくれよ!」


目の前で嘆願する弟、リオに俺は溜息を吐いた。何だって言うんだ、俺を巻き込むんじゃねェ。そんな言葉が口から出かかったが何とか押し止めて、俺は膝に開いてあった本を閉じて溜息混じりに問い掛けた。


「何があった?」
「……煩ぇんだよ。」
「……は?」


何だよ、煩いって。と俺はリオを見た。リオもそれを汲み取ったのか、こくりと頷いて口を開いた。

「――――………、」
「あ、兄貴と一緒だよ!」


嬉しそうに笑う弟に俺はつい声を出して笑った。元々出来は良い奴だ。手間も掛からないし楽できるな。何より、久し振りに誰かと一緒って言うのは心地良いかも、しれない。あぁ、寂しかったのかもな、なんて少し思ったりして、馬鹿馬鹿しくなった。
問題は山積みだったりするが、今はこの心地良い空間を満喫しようかな、なんてリオの笑顔を見ながら俺は考えていた。





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