長編ものとか

□〈外伝〉東方香霖堂
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#1幻想への誘い

僕が思うに、人間は二種類に分けられるのではないだろうか?
極端に言えば、1つは他人の心に土足でずかずかと入り込む者。
もう1つは他人から距離を置く者。
どちらかといえば、無論僕は後者である。
――――

そんな、偉そうなことを思いながら、僕は店の前で箒を使って忙しく掃除をした。
閑古鳥が鳴いているこの寂れた商店街にも、秋は例年通りやってきた。
街路樹から落ちる紅葉が限りなく鬱陶しい。

「香霖堂」
なんて今更流行らない骨董品店を親の跡継ぎで経営している僕は暇を持て余していた。
なにせ、わざわざ、こんな地方の過疎化が進みすぎたこの商店街に来て、増してやこんな骨董品店に来る物好きなんて滅多にいないだろう。
そして、この不景気。
赤字のオンパレードは続き、アルバイトをいくつ掛け持ちしたとしても月給七万しか無いギリギリの生活だ。
だから、毎日が退屈で仕方なかった。
親の遺志を継いだ僕もいけなかったけど。
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