ーDo you like me ? ー



自室でベックマンが本を読んでいると聞き慣れた足音がしてドアが開く。

この船で唯一ベックマンの部屋にノック無しで入れる人物ーーシャンクスがベックマンの後ろを横切り通りすがりにベックマンが気に入って使っているマグカップを机に置く。

中身を見て自分用に入れられたブラックコーヒーだと気がついたベックマンが素直に礼を言う。

「ありがと、」

「どういたしまして」

軽く返事を返しシャンクスがベッドに腰掛ける。

しばらくの間ページを捲る音と並みの音だけが部屋に響く。



「なぁ・・・」

痺れを切らしたシャンクスがベックマンに声をかけベッドを『ポンポン』と叩き『こっちに来い』という仕草をする。

ベックマンは小さくため息を吐いて本を閉じ、シャンクスの隣に腰掛けた。

「あと1時間もしない内に次の島の海域に入るって言っただろ?時化るからヤらねぇぞ、」

「わかってるって。」

シャンクスがベックマンの言葉に苦笑する。

「時化るまで寝ようと思って、」

ベックマンの膝を枕代わりにしてシャンクスが仰向けに寝転がる。

「あ、なぁなぁ、俺のこと好きか?」

「もちろん。」

ベックマンが突拍子のないシャンクスの言葉に少し驚きながらも優しい声で答え、優しくシャンクスの頭を撫でる。

「んじゃぁ、チョコは?」

「好まないのは知ってるだろ?」

「知ってる。じゃぁ、チョコでコーティングされた俺は?」

「・・・風呂に突っ込む。」

「ひでっ、」

そう言いながらも苦笑するシャンクス。

「どうせ貰うならチョコ無しのあんたで、」

ベックマンがシャンクスの手を取り、手の甲にキスをする。

「チョコがねぇとバレンタインじゃねぇだろ、」

シャンクスがキスされた手をぼーっと見ながら言う。

「それなら俺がチョコを贈るのはどうだ?」

「それもいいな、」

シャンクスの指がベックマンの唇をなぞるとベックマンの舌がシャンクスの指をなぞる。

「やめろよ・・・その気になっちまうだろ?」

クスクスと笑い手を見つめるシャンクス。

「その気になるか?」

ベックマンがシャンクスの顔を覗き込み、目が合う。

「その気にさせてみろよ、」

そう言ってシャンクスが腕を伸ばしベックマンの頭を引き寄せ、唇が触れ、舌が絡み合う。


『ガシャーーンっ!!』

突然、船が大きく揺れ、机の上に置いていたマグカップが落ちて割れる。

「残念。」

シャンクスがベックマンの唇を名残惜しそうに舐めてから離れ、ドアへと向かう。

「思ったより早かったな。」

そう言ってベックマンもシャンクスの後を追うように部屋を出た。



甲板に上がると外は雨が降り、波が大きくうねっていた。

「お前ら、油断するなよ!!」

シャンクスが叫び、的確な指示を出していく。




そしてバレンタインデー当日




シャンクスの元にはチョコレートボンボンとバレンタインカードが
ベックマンの元にはシャンクスと新しいマグカップが届いた。


FIN

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