+
拍手レスや突発短文等。
◆突発文:骸髑
私は愛情というものが欲しかった。
そのくせにあの人が私に向けてくれる言葉を、私は信じられなかった。
『僕には君が必要です』
嘘。
身体の戻った貴方にはもう、私は必要ないのでしょう?
『ずっと触れたかった』
嘘。
変に感情を持ってしまった器になど、触れたくなどないくせに。
『愛しています』
嘘。
こんな私を、貴方のような方が、愛するわけないでしょう?
「……では、クローム。いくつか質問していいですか?」
仮に、僕が君を必要としていないとして。
僕はどうして君を生かすのでしょうね?
仮に、僕が君に触れたくないとして。
僕はどうして君に口づけまでしたのでしょうね?
仮に、僕が君を愛していないとして。
どうして君を側に置くのでしょうね?
「……わかりません」
「答えは簡単です。僕は君が好きなんです。愛しているんです」
「…そんなの、嘘」
「……まったく、君はどうして僕の愛を受け入れてくれないのでしょう」
骸様は一息、ふぅと吹くと言葉を続けた。
「…それではクローム。最後に質問していいですか?」
私が首を上げず、何も言わないでいると、骸様は勝手に言葉を続けた。
「…どうして僕の愛の言葉を信じていないのに、嬉しそうに笑うのでしょう?」
「っ…」
「今、君を抱きしめている僕の肩を押して抵抗せず、僕の服の裾を握りしめているのでしょう?」
「それはっ…」
思わず私が顔をあげたら、骸様は満足そうに微笑んだ。
「何故僕の言葉を否定する君が、僕の言葉でこんなにも頬を赤らめているのでしょう?」
かぁっ
また、頬が熱くなる骸様の言葉を信じていないはずの私だけれど、心は正直ね、こんなにドキドキしてる。胸が高鳴る。幸せになる。
私は「意地悪…」と呟いて大好きな骸様へ抱きついた。
2010/08/12(Thu) 21:59
[コメント書込]
[戻る]
[TOPへ]
[カスタマイズ]