ごっつぁ煮

□一緒なら(アバブチャ)
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「お前のそれ、似合ってる」


不意に背後からかけられた言葉にオレは柄にもなく一瞬びくりと肩を揺らして驚いてしまった

これ程驚いた理由としてはオレがまさに柄にもなく手鏡を凝視して自分の顔を見ていたからだ
別に見惚れていたとかじゃなく、たまたま目にゴミが入ったから見ていただけだが

「…驚かすなよ」

軽く手鏡をずらすと、そこに映ったのはブチャラティだった



ひょこりと顔を出して笑うその表情は歳相応のソレで、しかし思えばオレも同年代だから笑えばあんな感じになるのかと想像してやめた
オレが笑顔だなんて考えられねぇ


「何が似合ってるって?」

振り返らず聞いたがブチャラティの返事は無い
オレは特に何も着飾っているつもりは無いのだが何のことだろうか

…いや今はそれより目のゴミが優先事項だ
畜生、どこに入ってやがる
まじまじと鏡で見るもゴミは見当たらない

もしかして奥に入り込んだのかもしれないな
目が異物を流すために段々涙が膜を作り始めている

よし、そのまま流れ出ちまえ


などと思っていた矢先だ
じっと目を凝視しているオレの肩を引っ掴みそのままぐるりと180度回転させる奴がいた

言うまでもなくアイツだ


「んだよブチャラティ!今忙し……っ…!?」

忙しいから後にしろ


そう言おうとした言葉はブチャラティの唇によって塞がれてしまった
あまりに唐突なキスにも驚いたがオレはブチャラティからキスされたことに驚いていた

何しろここは……




「うわっ!ブチャラティが!ブチャラティがアバッキオにキスしてるぅ!!」

「ちょ、マジかよ!?」

「ナランチャ見てはいけません!!ジョルノもっ!!」

「…………」

ナランチャやミスタやフーゴ、そしてジョルノもいるアジトのリビングだ
ブチャラティは公私混同はしないタイプの人間だと思っていたが、違ったのか?

つかお前らいちいち煩ぇな


なんてまた考え事をしていたらブチャラティがオレを見ていた
すっげぇガン見で

「んだよいきなり」

「……アバッキオ。俺はお前のそのルージュ、とても似合ってると思うんだ」

「あ?」

何だ突然……

「だから行くぞ」

「ちょ、はあぁ!?」




全くもって話の意図が掴めないぞブチャラティ!


「意味分かんねぇぞおい!どこ行くんだよ!?」










 
そうだな……お前と二人っきりになれる場所ならどこへでも 

んだよ……アンタ今日変だぜ?
もしかして、構ってほしかったのか?


………………





*****

ブチャラティだって構ってほしい時くらいあるさ

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