ごっつぁ煮

□計画通りって訳か!!(要修)
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変な話 

東仙隊長は男には見えない。

いや、男には見えないというのは少し語弊がある気がするが、人が男と聞いて連想するような男性のカテゴリに東仙隊長は当てはまってはいないと俺は思う。

何故だろうか…?
俺よりも背が低くて俺よりもずっと華奢だからだろうか。
褐色の肌の艶やかさやその物腰の柔らかさがそう思わせるのだろうか。



「考えごとかい?随分冷静だね、修兵」



だからこうしていきなり何の脈絡もなく笑顔で押し倒されても、隊長の行為は“男が襲ってきた”というより“東仙要が襲ってきた”という何か神聖じみたものに思えるのだろう。

……じゃなくて俺、押し倒されてる!? 

「えっ、あの……東仙隊長?この状況は…」

「うん、私が修兵を押し倒してる」


にこ、と無敵のスマイルを見せて隊長は答えた。
絶対この笑顔には癒しの効果があると同時に人が反論できない状況をつくる効果があると俺は思う
何故なら俺はそれを身を持って体験しているからだ。


「いやちょっと待って下さい隊長!ここ何処だと思って…!」

「…隊主室?」

「疑問系にしないで下さいよ!
て言うか場所も考えずに盛らないで下さい!怒られますよ!」

「……修兵のけち…」


唇を尖らせて渋々といった感じで東仙隊長は俺から離れた。

いや、だから“怒りますよ”って言ってないじゃないですか 
俺はソレを目撃した人に“怒られる”のが嫌なんです 
この前なんて俺がどんだけ怒られたか知らないから貴方はそんなに呑気でいられるんですよ…!! 

いつの間にかはだけさせられていた着物を整えて俺はふうと聞こえない様にため息を吐いた。


「ほら隊長、この書類判が要りますから…ってうわっ!?」

「ふふ、修兵隙だらけ」


なんてことだ 
さっきの二の舞じゃないか

ちくしょう…何で気付けなかったんだ俺!
隊長が一言二言で引き下がる人じゃないってことぐらい分かってたじゃねーか!


「だっ駄目ですって隊長!今仕事中でしょうが!」

「大丈夫、大丈夫」

「何が大丈夫か分かりませんって…っあ…!」

にこにこと笑いながら東仙隊長は手早く俺の着物を脱がせにかかった。
その手早さといったらあなたプロですかと言わんばかりで俺は若干引いた。
いや、かなり引いた。

最初、付き合い始めて間もない頃はお互い赤面しあってまごまごと事を進めたものだ。する場所、時間にも細心の注意を払い深夜密かに会ったなら互いに照れながらしかししっかりと手を握り合い…


「しゅーへー」

「っは、はいぃっ!?」

「さっきから何をぶつぶつ言ってるんだい?」

「え、いや…なんというか…」



「…そんなに私とするのが嫌かい…?」

「えっ…いや!そういう訳では…っぁ…!」



「ふふ…、だよねー」


ちくしょう、またハメられた
何時から隊長はこんな強かになったんだ!? 

昔の何の汚れも知らない妖精の様な隊長は何処に行ったんですか!? 


折角着直した死覇装もあれよあれよという間に剥ぎ取られ、更にのしかかられる体勢に持ち込まれた俺にもう逃げ道は無い。

見た目の体格差的には勝てるかもしれないが事実上力では一切適わないのだ。


それに隊長を無理矢理力ずくで押し退けるなんて俺には出来ない……絶対に…!!



「……っ…隊長っ、やっぱ駄目ですって…んむ…!?」


反論も唇に塞がれてはやりようがない。あれだけ必死で何とか逃げようと逸る気持ちがあったのにも関わらず隊長の唇に俺のそれが触れた瞬間、そんなことはもはやどうでもいいことになっていた。

それほど隊長との口付けは気持ちイイのだ。


「んう…っふ、んっ…」



気持ちイイ 
気持ち良すぎて涙がでてくる 


自然と俺は隊長の舌を迎え入れるように口を半開きにさせていて、隊長もすぐに熱い舌を滑り込ませてきた。
くちゅ、くちゅ、と唾液の混じる音と俺と隊長の荒い息遣いが更に体の熱を上昇させていく。

もっと、もっと欲しい 



俺は自然と両腕を隊長の首に回し、より唇同士が密着するようにした。 



「んっ、あ…たい、ちょ…んむっ…もっ、と、もっと……」

「んっ……修兵…」


ぬるついた熱い舌同士が絡み合う度にずくずくと下半身に疼く熱。 
もっと、だけど早く触ってほしい


俺は熱をもった下半身を隊長の腰に押し付け更にねだった。




「んっ…っあ…?」


しかし隊長が唇と共に体を引いたことによりその熱は虚しく空をきり、俺は呆気ない声を出してしまった。 
これでじゃあまるで俺一人興奮してるみたいで凄い恥ずかしいのだが。



「はぁっ……たい、ちょ?」

「…やっぱり修兵嫌そうだからやめとこうかな」

「!!?」

「ごめんね、無理強いして…。…ちゃんと仕事はしないとね…」



眉を下げ悲しそうに笑う隊長はすっと静かに俺から離れた。
混乱する俺を余所にさっき俺が渡した書類を拾い自分の机に向かう。


「…………」



え、何だこれ 


気を遣うとこ間違ってますよ隊長!俺実は乗り気でしたよ!? 

いや、確かにさっきは駄目とか言ってましたけどあれは何というかその……嫌よ嫌よも好きのうちですよ! 



中途半端に疼いた俺に背を向けて作業を始めてしまった隊長に視線で訴えても気付きもしない。
普段は些細な視線でさえ気付く筈なのに。


「……うぅ…」


隊長が離れたにも関わらず俺の熱はまだじりじりと燻っている。
俺が隊長を欲している。

このまま生殺しなんて酷すぎるだろ 



「隊長っ…!」



はだけたままの服で隊長に擦り寄り後ろから抱きついた。

首筋から香る隊長の香りが更に熱を高ぶらせる。


「ん?どうした修兵」


もう口調が仕事の口調になっている 
俺が聞きたいのはさっきの二人だけの時に喋るあの口調ですよ 

その“どうした”の後に“の”を付けてもっと柔らかい口調なんですよ 



どうしてこう隊長は変なところで切り替えがいいのか…



「っ俺…我慢出来ないです……」



だから続き、して下さい




、したたので
 


振り向いた隊長の顔は、それはそれはキラキラしていた
 

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