ごっつぁ煮

□先走った結果が(エル剣)
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「あの…マスター…」


「ん?…おっ、エルフじゃないか。どうした?いきなり出てきたりなんかして」

「いえ…特に用は無いのですが………お邪魔、でしたか?」

「いいや。俺も暇してた」


読みかけていた本を傍らに置き笑顔で話すマスター。

時刻は……正確には分からないが恐らく深夜。そんな時間に現れた私に嫌な顔一つせず、マスターは座っていたベットの隣を勧めて下さった。

「あっ、ありがとう…ございます」

幾ら経験しても慣れないマスターとの対峙に少々声が上ずったが一度小さく深呼吸をして隣に腰掛けた。


ギシ…とスプリングの軋む音が室内に響く。 


実体化し、物に触れる。
精霊である私ではあり得ない現象だが私は例外らしい。私はマスターの精霊となった時から実体化ができるという特殊な能力を備えていた。 
普段はマスター以外の人には見えないようにしているが、マスターと二人きりの時は別だ。 

最初の頃は不便だろうと思っていたが今は私がこの能力を持てて幸せだと思う。


…何故なら………


「エルフお前、大丈夫か?ぼーっとしてんぞ」

「え、あっ…」

自分から出てきたくせにな、とマスターは笑いながら流れるような動作で私の髪に触れる。 


そう、この能力を持っていることに幸せを感じるのはマスターに触れてもらえるこの喜びを実感することができるから。マスターに触れられるとこの上ない幸福感が込み上げ気がどうにかなりそうになる。 

いくら触れられても止まることを知らないこの幸福感にくらりと眩暈がしそうだった。 




「お、おいエルフ!?」

「……え?」








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