短編集

□純粋に濁ったその愛を*(佐小太)
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「はあっ…!やっと、やっと手に入った…!!」






恍惚の表情で両手を広げ、歩み寄る佐助 


カツン、カツンと冷たい石床を踏みしめる度喜びが増幅するようで、佐助は堪らず息を吐いた 






地下の牢獄 


薄暗く月の光しか差さない不気味な檻 



そこに武田の忍猿飛佐助と… 
「これでアンタは俺様のモノ…」




幾重もの枷や鎖で縛られた




「風魔小太郎…」




伝説の忍、風魔小太郎がいた 



身体は既に傷だらけになっており、彼の顔を覆う兜も無い 
衣服も意味をなさない程に引き裂かれ鎖で全身を固定されていた 

気を失っていたのかさっきまで頭を垂らしていた小太郎だったが、佐助の気配に気付いたらしくゆるりと頭を上げ、唇を噛み締めた




佐助は満足気に笑いながら小太郎の元へと歩み寄り、屈んで目線を合わせ、そしてその細長い指で小太郎の顎をつうっ、となぞる 


「…大将と旦那、それに忍隊全て使っただけのことはあるよ………最高だ…」



愛しむように小太郎の頬を撫でる佐助に、背筋がゾッとするものを感じ、何故こんな事になってしまったのかと自問自答した 







全ては三日前



北条が各国の勢力に負け、武田に同盟を申し入れたのが始まりだった  



着々と同盟の手立てが進み、両国に安堵が訪れようとしていたその時 




武田が北条に攻め込んできたのだ 



余りに突然の同盟破棄 



理由は北条が同盟を利用して武田を滅ぼそうとしているという情報が流れたからだった


勿論北条は一切そんな気は無く、和解を申し立てたが時既に遅し


突然攻め込まれた北条は荒れに荒れ、遂に











風魔小太郎一人のみとなった 








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