光を掴む者 闇に堕ちる者

□8.能力者の終わり
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一人で風の精霊に会いに来たウルは、だいぶ街から離れた塔に辿り着いていた。見渡す限りの荒野の中で、その塔は存在感を溢れんばかり、放っていた。


「精霊か。確か姫君だけ契約に成功していたようだな」


まだ会ったことのない、未知なる存在との対面だが、恐怖は感じていない。


「基地にはアルナがいるから問題ないが、進行軍に遅れが出ているのも事実か・・・」


当初の計画が少しずつ狂わされている。一国を、ほぼ牛耳っている彼にとって、この事態は大変なものである。


「『能力者の終わり』でもあれば、楽に事が運べるのだが・・・」


普通に生きている者にとって能力者は、ただの化け物。害はあっても、無益である。


特に英雄として謳われている三人を見る目は、決して良いものではない。彼らの存在を消したい輩は、ウル以外にも山程いるはずだ。


「また部隊を編成するしかないか。・・・いっそのこと、ギャリアルトと組むか・・・」


とんでもない事を考えている。対立した組織どうしで手を組むのは、お互いに共通の敵が現れた時だけだが・・・


ウルはどうやら、能力者を始末したあとでギャリアルトも壊滅させる気でいるのだ。ギャリアルトも黙って呑むわけが無い。・・・戦争は、更に激化しそうだ。










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