フォーリンガール

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ってゆーか、ルッスーリアさんすっごい料理が上手でびっくりした。

だてにそっち系やってないですね。

もちろんそんなことは言えないけど。




「すっごいおいしいですよーっ!!」

「まっ!!よかったわぁ」

「いい奥さんになれそうですね!!」

「やだぁー上手いこと言ってぇ・・・・えっと・・・・お名前、まだ聞いてなかったわよね?」

「あ、私は・・・」




バァンッ!!!




・・・・また妨害されました。

自己紹介を遮られてイラッとしながらも扉の方を見れば、そこにはカエルの姿が。


このやろう、ことごとく人の自己紹介を邪魔して・・・。

まさか狙ってるのか、そうなのか、えぇ?




「あら、フラン、どうしたのー?」

「ちょっとそこのワカメに用事がー」

「ワカメじゃない、私は・・・」

「いいからさっさと来いっつってんだろ」




ぐいっ。



と、数時間前のごとく首根っこを掴まれる私。

ちょ、まだ食べ終わってない!!

ルッスーリアさんの手料理ぃぃぃっ!!!


と叫べば、「はいはいそりゃ残念でしたねー」とスル―された。

ってかこいつまた自己紹介遮ったし。

何回目だよこれで!!



そうこうしながらズルズルと引きずられてたどり着いたのは、あのエレベーターの前。

すると、その中にぽいっ、と放り投げられた。




「とゆーわけでー、さっさと帰っていただけますかー」

「は、え・・・いや、」

「そんなきょどんないで下さいー、気持ち悪いですー」

「あんたの棒読みの方がよっぽど気持ち悪いわ」




対抗意識燃やしてそう言い返せば、やはりスル―された。

何だ何だ結局カエルの方が1枚上手だってか。

別に負けたつもりなんてさらさらないけど!!




「隊長から聞きましたー、このエレベーターに乗ってきたんでしょー?」

「隊長って誰だよ、てゆーか私だって好きでここに来たわけじゃないから」

「だったらー、お互いのためにもさっさと帰っちゃってくださいー」




あぁもうほんとむかつくこのカエル。

そんなに厄介者扱いしなくてもよくない?

大体、私だって帰れるもんなら早く帰りたいと思ってるし。

だけど、どうして帰らないかって、そんなの




「エレベーター、動かない」

「は?」

「私だって帰りたいよ、だけどエレベーター動かないから帰れないの!!」




そう、動かないんだよこの子。

事実を言ったのにカエルからは何の反応もないし。


しょうがないから、とりあえずエレベーターから出た。

さて、戻って食事の続きでも・・・




「待って下さーい」

「何」




大した用事もないんだろ、呼びとめるなよカエル。

そう思いつつ律儀に振り返る私。

やっぱりカエルは無表情なままだ。




「やりたくないことってー、やる必要ないと思うんですよー」

「・・・は?」

「本当はミーの教育係なんて、やりたくないんでしょー?」




だったらミーも嬉しいんですけどー。

そう付け足した彼は本当に嬉しいのかどうか疑わしいけど。


でも、カエルの言ってることは事実で。

実際、教育係なんてやりたくもなかった。

だってあれは、延命処置と同じようなものなんだから。




「・・・まぁ、あんたのことなんてどうでもいいしね」

「だったらー、そんな顔する必要ないですよー」

「・・・・どんな顔?」

「嫌そうなー、不服そうなー、めんどくさそうなー、幸薄そうなー」

「おいこら何だ最後の」

「・・・・あぁついでに、泣きそうな」




え。

と、声を上げる事もできなかった。

私、そんな顔してたの?

・・・そんなまさか。


嫌そうな顔は、多分してたと思う。

・・・幸薄そうってのも、否定はしない。

けど、泣くって。

・・・・意味わかんないしカエル。




「心配しなくても、そのうち帰れますよー」

「・・・・・・」

「てゆーか、意地でもミーが帰しますー」




・・・どうせ、私がうっとおしいからでしょ。

と捻くれた考えを浮かべた私。
(実際そうだと思うし。)


・・・でも、何だか・・・。




「また泣くつもりですかー?」

「な、泣いてないっ!!」



嬉しいわけではないけど、何故か心にじーんときた。

涙腺、弱くなってるみたい。

強がってるつもりはない。

けど、多分、涙を隠しているのも事実で。

もちろん、こんなカエルの前でなんか泣かないけど。


その時だ。

歩み寄ってきたカエルが、私の頭にぽん、と手を乗せた。




「よしよーし」

「何すっ・・・」

「泣かれても面倒なんでー、あやそうかと思いましてー」

「いやいや私赤ちゃんじゃないから!!」



棒読みでよしよし、なんて言いながら私の頭を撫でて来たカエル。

・・・正直、驚いた。

カエルが私にそういうことをしてきた、っていうこともだけど。

・・・何より、その手つきがひどく優しくて。


思わず、ぱっとその手を振り払った。




「戻るっ!!」

「はーいいってらっしゃーい」



カエルに背を向けて、私は元来た道を走りだした。

何か後でぱたっ、て音が聞こえた気がしたけど、一々振り向いてらんない。


多分、今・・・顔赤い、かも。

何となく、熱がこもっているのがわかったから。



───────


頭撫でる、なんて。

ミーは何やってるんでしょーねー。



「・・・あっれー、」



ふと、彼女のポケットから零れ出た何か。

拾い上げれば、そこにはぶっさいくな顔写真と名前やら何やらが載ってて。




「五十嵐、香奈さん、ですかー」



初めて、彼女の名前を知りました。




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