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□水色01
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あの後別れて、あいつは家に帰っていった。


それから数日。

学校も違うし、名前も知らないわけで、

あれから1度も会っていない。


別にあんな女のことなんてどうでもいいが。

・・・そう思っているはずなのに、あの泣き顔と無理矢理作った笑顔が頭から離れない。

今までこんなに1人の相手に執着することなんてなかった。


そんな事を考えながら、ぼーっとしていた昼休み。

突然目の前に悟浄が現れた。



「よっ」

「・・・・・・」

「無視すんなっての」

「・・・・何だ」

「あのさ、お前今日暇?」

「断る」

「まだ何も言ってないんスけどー」



顔をひきつらせる悟浄。

こいつの言いたいことなんざ大方予想はつく。

女遊びか何かだろうが、今はそんな気分じゃない。

しかし、いつも以上に冷たくあしらっても、悟浄が立ち去る気配は一向になかった。



「最近さ、いつも以上にテンション低いじゃん?」

「・・・・・」

「あ、テンション低いっつーか、なんかこー、別のことに気ィとられてるカンジ?」

「・・・お前には関係ない」

「いいからさっ、行こうぜ?」



めんどくさい、とは思いつつも何か気晴らしになることでもあればこの気持ちも消えるだろうか。

そう思って俺は気が乗らないながらも悟浄の誘いを受け取った。






そして放課後。


悟浄の後をついていきながらも、やはり俺の頭の中からあいつは消えない。

ふと空を見上げれば、あの日とは違って雲1つない空があった。


この空を、あいつも見ていればいいのに。


何故かそんなことを思って。

だけど、そうすればあの日のことも忘れられるんじゃないか、とか。


俺も、あいつも。


そんなくだらないことを考えているうちに、気が着けばたくさん人がいる場所まで来ていた。




「っしゃ、じゃあ今日はここらへんで」

「・・・めんどくさい、早くしろ」

「おいおい三蔵よー、ほんっと最近ノリ悪いよな、まぁ今に始まったことじゃねぇけどさ」



ノリ悪いのは最初からだしな、なんて言いながら悟浄は人ごみの中に目を凝らす。

それを一瞥して、俺も同じ場所へと視線を向けた。



その時、ふと目にとまった人物。


まさか、とは思いながら、俺は迷うことなくその人物に向かって歩きだした。

後から悟浄の声が聞こえるが無視。


近寄って、まだ俺に気付かないそいつの肩に手を置いた。





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