フォーリンガール

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今度こそ偽物であって本物。

それを考えると、尚の事部外者が誰かの目に触れてはいけないと思って、選んだ場所はベタに体育館倉庫だった。

・・・あぁお腹空いた・・・私まだご飯食べてないのに・・・・。



ガタンッ!!



と、少し重たい扉を閉めて。

未だに新山さんの姿なそいつの手をぽいっと乱暴に放る。




「何するのよ痛いじゃないっ!!」

「いい加減にしなさい」



しつこく新山さんの演技をするもんだから、私は盛大に顔を引きつらせた。

ら、むすっとした顔の新山さんを藍色の霧が包んでいく。


そして、数秒。

晴れたかと思えば、やはり予想通りの姿がそこにあった。




「ちぇ、折角上手くいったと思ったんですけどねー」

「どこが!!」

「げろっ」



かーん!!

と、ようやくそのエメラルドグリーンの頭頂部にチョップを喰らわす。


悪い意味で期待を裏切ることなく姿を現したフランは、先ほどの新山さんのときとは違っていつも通りの無表情だった。

化けていたとはいえ、よくもまぁこんな問題児があんな真似できたこと。




「何で新山さんのこと知ってるのかっていうのも気になるけど、」

「話すの面倒ですー」

「って言いそうだから聞かない・・・でも、」

「やっぱり暇だったんでー」

「・・・聞く前に答えるなっ!!」

「いやー、思いの外息ぴったりですねー」

「嬉しくないからっ!!」




すこーしだけ笑いながら言うフランを見て思わず怒鳴り声を上げた。

この野郎、こっちの苦労も知らないでっ・・・

バレたら困るの私なのに・・・!!




「だったらあの時スル―すればよかったじゃないですかー」

「・・・え・・・・」

「わざわざ墓穴掘るようなマネしてー、ほんっとバカですよねー」

「・・・って、人の心を読むな!!」

「別に読んでないですよー、ただ香奈さんのことだからこういう風に考えてるんだろうなーって思ってー」

「それが読むって言ってんの!!」



ぽすん、と積み上げられたマットの上に腰かけながら言うカエルを見て余計に腹立たしくなった。

誰のせいだと思ってんだ、誰の・・・!!

フランが学校に来ちゃうからこんなことになってんのに。




「何で大人しくしてらんないの」

「別に暴れてないですけどー」

「そういう意味じゃなくって・・・」

「まぁ、ミーも油断してましたー」

「は・・・?」

「まさかあそこで本人と出くわすとは・・・」

「そもそも他人に化けるな、今後一切幻術禁止!!」

「えー」

「えー、じゃない!!」



ここは平和な日本なんだ。

ヴァリアー邸みたいに食器が飛んできたりナイフが飛んできたりするわけでもない。


なのに必要以上どころか人を騙すみたいに他人に化けるなんて言語道断・・・!!
(前例有りだから尚更)

何にせよ、もうすぐ昼休みも終わってしまう。

お昼も食べ終わってないのに、とため息をつきながらくるりと背を向けた。




「もう教室こないでよ」

「戻るんですかー?」

「当たり前じゃん」

「やめた方がいいと思いますけどー」

「・・・・・・・(イラッ」

「だってー、質問攻めにあいますよー?」

「・・・・・・・・・」

「ただでさえ同じ人間が2人なんて、現実的に有り得ないことなのにー」

「・・・・・・・・・」

「さも事情を知ってるかのような行動とっちゃったんですしー、そりゃ質問の嵐が・・・」

「・・・・誰のせいだと・・・・・」




そろそろキレてもいいですか?


と思って、再びフランの方を振り返った。

ら、





「っ・・・・!!」

「ミーがうまーく弁解してきますからー」





私がいました。

いや、わかってるよ。

フランが化けてるって。

けど、目の前に自分が現れる、なんて非現実的なこと滅多にないわけで。

驚きのあまり固まっていたら、するりと横を通り過ぎた私(フラン)。





「すぐに戻ってきますんでー」

「はっ・・・・・え、ちょっ・・・・!!」




ガララ・・・・・バタンッ!!ガチャッ!!




「・・・・・・・え、・・・・」




そして颯爽と倉庫から抜け出し、更にはご丁寧に鍵まで掛けていきやがりました。

・・・・・・・・・・・あンのカエルめ・・・・・・!!!





(・・・・・・締める、絶対締める・・・・!!)




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