フォーリンガール
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ガラッ!!
外から開けられた扉。
そこにいたのは、
「・・・・・・・え、」
「・・・・・・・・」
「・・・に、新山さんが、・・・・」
2人ぃっ!!?
とクラス中が驚く。
扉が開いた先には新山さんがいて。
教室の中、今私がついていってるのも、新山さんで・・・。
「なっ・・・な、なんで私がっ・・・・」
「あっ、あんたこそ誰よっ!?」
「・・・・・・・・・・」
2人の新山さんが、お互いにお互いを見てびっくりしている。
もちろん、クラス中の人間が驚きで静まり返っていた。
そんな中で1人だけ冷静な私。
・・・・だって・・・・ねぇ・・・・
思い当たる節が・・・・
「誰って、私は私よっ!!」
「私だって本物よっ!!」
「ちょ、・・・2人共落ちついて・・・」
思い当たっても、
どちらかが偽物と分かっていても、
どっちが偽物かわからないのでとりあえず仲裁に入ってみる。
このやろうっ・・・
どうしてこうなった・・・!!
とりあえずこの場をどうにかしなければ。
・・・さて、どっちが偽物かな・・・
「(でも・・・普通に考えてみれば・・・)」
「私が本物だって言ってるでしょ!!」
「何言ってんのよっ!?」
「(本物の新山さんが滅多な事で私に話しかけるはずないし・・・)」
「さっさと正体現しなさいよ!!」
「そっちこそ!!」
「(・・・・ということは・・・)」
ぐいっ!!
と、私は偽物だと思う方の新山さんの手を引いた。
そして駆け足で教室を出て廊下を走る。
「話しかけて来た方が偽物!!」
「はっ!?ちょっ・・・五十嵐さんっ!?」
手を引いたのは、私に話しかけてきた方の新山さんだった。
つまり、今来た方が本物。
だって、そもそも新山さんが私に話しかけてくること自体有り得ないし。
ってことは、学校外で新山さんの存在を知ったであろうあのカエルが化けて現れたってことだ。
それで、教室に侵入したまでは良かったけど私と新山さんがそんなに仲が良いわけではないことを知らず話しかけてきて・・・。
適当に人目の少ない場所に新山さんもといカエル(多分)を連れ込んだ。
「なっ・・・によっ!!」
「もう下手な猿芝居は結構!!それより、あんた何でこんなとこまでっ・・・!!」
「はぁっ!?」
「どこで新山さんのこと知ったか知らないけど、それで上手く化けたつもり?残念でした、私は彼女とそんなに仲良くないの!!」
「ちょっ・・・五十嵐さん?あなたどうしたの・・・?」
「もう芝居はわかったって!!ほら、いい加減幻術解いたら?」
「げんじゅつ?何のこと・・・?」
「・・・・・・・・・」
本当にわけがわからない、と言った表情で新山さんが見つめてくる。
・・・・・・・・・あっれー・・・・?笑
7割くらい確信してたから、完全にそうだと思い込んでたけど・・・。
・・・これは、もしや・・・・。
「・・・・に、新山、さん・・・・?」
「何よ」
「・・・・・・・・・・ほんもの?」
「当たり前じゃない!!」
血の気が引くとはまさにこのこと。
そんなに仲良くもないと本人の前で自ら言いきったくせに、カエルだと思いこんで無理矢理引っ張り回したし・・・。
しかも偽物扱いしちゃったし・・・。
言ったらダメなものかも知らないけど幻術とか口に出しちゃったし・・・。
「ごっ、ごめんっ!!!」
「全く、どうなってんのよ!」
「いやっ・・・わ、私も、何かびっくりしちゃって、つい・・・」
「私だって驚いたわよ!」
本当のことを言えるはずもなく、適当にはぐらかす。
当然の如く新山さんはご立腹なようで。
・・・ってことは、私に話しかけて来たのは本物の新山さんだったのか・・・。
珍しいこともあるもんだ。
・・・・・・・・・・・あれ、
・・・・じゃあ、今目の前にいる新山さんは、本物の新山さんで。
・・・・私が本物だと思って教室に置いてきたあの新山さんは・・・・・・・?
「・・・・・・・・やっばっ!!!!」
「え?」
「ちょ、ごめんっ!!先戻るねっ!!」
「えぇっ!?」
新山さん、ここまで引っ張ってきちゃってごめんね。
と、心の中で謝りながらもそれどころじゃない私は急いで踵を返した。
だって、こっちが本物ってことはあっちが偽物ってことで・・・。
あっちが偽物ってことは、あの新山さんは、多分・・・・
ガララッ!!!
「にっ、新山さんっ!!!」
・・・じゃないと分かってはいるけど、そう呼ばないと不自然だと思って。
教室につくや否や勢いよく扉を開け、目的の人物(仮)の名前を大声で呼んだ。
ら、
「なぁに?五十嵐さん」
にこーっ、
と笑って振り向いた新山さん(仮)。
その正体を知っているから見た目がどんなに可愛くともただただ殺意が湧きあがるばかりである。
けど、いきなりチョップなんてかまそうもんなら完全に私が悪者になるので。
「ちょーっと、いいかなぁ・・・?」
「えぇ(にこり」
本当に偽物かと思うくらいの笑顔。
おーおー演技がお上手なこって。
黒いオーラを撒き散らしながら新山さん(仮)を呼ぶと、再び笑顔で応じられて更に殺意が湧いた。