鮫誕2011

□24.
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あれから車に乗せられ、本格的に危機感を感じていたがどうにもできず。


連れてこられたのは西洋風の建物。

どうやらアジトからはさほど離れていないらしい。

意外と車に乗ってる時間が短かったから。


そしてやっぱり少年に抱きかかえられたまま、とある部屋で乱暴に降ろされた。




「いっ・・・!!」

「任務完了ですー」

「何すんのこのカエルっ!!」




入った途端感じた物凄い威圧感を無理矢理無視してカエルを睨みあげた。

室内は薄暗い。

なんでこんな雰囲気まで無駄に演出しちゃってんのばっかじゃないっ・・・!!


と、強がりつつも内心びびりまくる。

自分で何とかできそうもないけど、何とかならないものかと思考をフル回転させた。

その時だ。




「んふふっ、上出来よーっ」

「フン、俺ならもっと早く連れてこれたがな」

「ししっ、いいからさっさとしよーぜ」

「そうですねー」




威圧感に気をとられて気付かなかったけど、私の周りにはカエル含め知らない男4人が立っていて。

・・・ていうか囲まれて見降ろされてる状態。

・・・・・・・絶体絶命・・・っ!?

何とかならないか、なんて甘かった。

これはもう、敵のいいようにしかならない。


と、その時だ。




「・・・退け、カス共」




一際低い声が部屋に響いた。

素人でもわかる、殺気に満ち溢れたその声色にただただ固まることしかできなくって。

暗闇の奥から現れたもう1人の男が、赤い目で私を鋭く睨み降ろしていた。




「つーかさ、王子達優しくね?」

「ほんとよねぇっ、最高のプレゼントじゃないっ」

「あいつにはもったいないほどだ」

「まぁ、成功すればの話ですけどー」

「・・・はっ、どっちにしろあのカス鮫の所為でこれ以上俺にツケが回るのはごめんだ」




・・・何ともまぁ楽しそうなこと。

いや、それどころじゃなくって、私は命の危機なわけで。

プレゼントって何っ、「信長の首じゃー!」的なことっ!?

やだやだっ、まだ死にたくないっ・・・!!




「いいかよく聞け、カス女」

「・・・・っえ、・・・わ、私っ・・・!?」

「ばーか、てめぇ以外どこに女がいんだよ」

「ちょっとベルちゃんっ!!ここにもいるじゃないのよぉっ!!」

「貴様ら黙れっ!!ボスの話の途中だっ!!!」

「レヴィさーん、あんたが1番煩いですよー」

「フラン貴様ぁっ!!後輩の分際でっ・・・」

「黙れドカスが」

「ぐふぉっ・・・・!?」




赤い目の男・・・多分この人がリーダー格なんだろうけど。

その人に膝蹴りされて床に倒れ込む大きなおじさん。

その横で笑う金髪の青年に、サングラス越しに彼に同情の視線を送るモヒカン(どうやらオネェらしい)。

そしてカエル。

まぁ何とも濃いメンバーだな、と思いつつ現代のマフィアってこんなギャグみたいな集団なんだ、と思わず気が緩んだ。

直後だ。


チャキ・・・


と、乾いた音を立てて目の前に現れたのは、・・・・・多分、銃口で。

銃を突きつけられているんだ、とすぐに理解した。

そしてまた固まる私の体。




「てめぇのお陰でカスが更にカスになりやがった、責任とりやがれ」

「せっ、責任、って・・・・私何もっ・・・!!」

「るせぇ」

「っ・・・・!!」




ズガンッ──!!!




すぐ目の前で、大きな銃声が響いた。





(・・・・有難く思いやがれ、)
(カス鮫と澪に、施しだ)




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