フォーリンガール

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吉報聞いて即行で荷物を纏めてたわけですが。




「何用だ」

「あんたこそその口調何ですかー」




突然の来客に私はその手を止めた。

・・・というかまぁ、纏める荷物なんてないことに気付いてベッドに転がってただけなんだけどさ。

寛いでいた私を余所に、カエルは無遠慮にも部屋に入り込んでくる。




「ミーの教育係なんでしょー?」

「らしいね」

「だったら相談ですー」

「えーめんどくさいー」

「ミーに対する上司の扱いが酷いんですー」

「っておい、人の話聞けよ」




めんどくさい、と間接的にお断りしたのにそれを無視して喋るカエル。

てゆーかそれ相談じゃなくて愚痴っていうんだよ?




「いや、確かカエルのその態度にみんなイラッときてるんだったよね?だったら扱い酷くなるのは自業自得っていうか・・・」

「ミー口は出しても手は出してませんー、なのにあの堕王子とか堕王子とか堕王子とかーナイフ刺してくるんですよー?」

「堕王子ばっかじゃん」

「とにかくー、何とかしてくださいよー、
香奈せんせー」



はっ・・・?

いやいやせんせー、って(笑)


チョップされすぎてとうとう頭おかしくなったかカエル、と思わず笑った。




「まぁまぁ、喧嘩するほど仲がいい、っていうしさ?」

「仲良くしたいわけじゃないですー」

「・・・・だったら何を求めて私に相談してきたわけ」




めんどくさいながらも人が親切に丁寧にアドバイスしてあげてるのに。

なんだこのカエル。

仲良くしたくないなら別に今のままでもいいじゃんか。


と、口を尖らせた。




「何を求めて・・・?」

「だって、仲良くなりたいからー、とかもっと職場を和やかにしたいー、とか色々あるじゃん、まぁ暗殺って時点で和やかにはならないだろうけど」

「・・・・あっ、」




ぽん、とカエルが手を叩いた。

何だよ、今頃になって何か思いついたのか。


と、ふいにカエルが私の隣に座ってきた。




「な、何・・・」

「今やっとわかりましたー」

「は・・・?」

「単に香奈さんとお話したかっただけなんですー」




どきん、と何故か胸が鳴った。

・・・っていやいやいやちょっと待て私。

話したかっただけでしょ、別にどきどきする要因なんて1つも・・・。

ましてやカエル相手に・・・!!




「わ、私なんかと話すより、それこそ金さんと喧嘩でもしてた方が暇つぶしになるんじゃないのっ?」

「別に暇つぶしのつもりとかじゃないですけどー」

「はいはい、そーやってまた「ドキドキしましたー?」とか言ってからかうんでしょっ」

「ドキドキしてるんですかー?」

「はっ、誰がカエル相手にっ」

「・・・じゃあ、試してみます?」




二ヤリ、とカエルの口角がつりあがるのがわかった。

え、何この顔、いっつも無表情なくせして。

かと思えば、いつのまにか両手首をしっかりととらえられていて。

どんどんカエルとの距離が縮まって。

だけど、まるで金縛りにあったかのように身動きがとれなくって。

・・・冗談じゃっ・・・!!




「抵抗、しないんですかー?」

「っえ・・・・」

「そんなにじっとされちゃ、本当にキスしちゃいますよー?」

「っ・・・・ば、ばっかじゃないのっ!!」





ぶんっ!!

と、力づくで腕を振り払った。

相変わらずカエルは無表情ながらどこか楽しそうで腹が立つ。


・・・この女たらしめ・・・っ!!





「まじありえないっ」

「いいじゃないですかー実際やってないんですしー」

「そういう問題じゃないっ!!」

「げろっ」





渾身の力を込めてチョップをかました。

もちろん、カエルの分身は今日は不在なのでモロ直撃。

よっしゃあっ!!!




「うぅ"−・・・いてぇ・・・」

「自業自得だっての!!」

「・・・・・・狂暴凶悪男女」

「聞こえてるしっ!!!」




この毒舌カエルめっ・・・!!

いやもはや毒舌じゃない、これただの悪口だ!!

・・・なんかヴァリアーメンバーがこいつに手を焼く気持ちが物凄くわかる。



とにもかくにも、ブサイクだろうと何だろうと言われても構わない勢いで顔を引きつらせカエルを部屋の外へと追い出した。

でも、こんな生活ともあと2日でお別れ!!

早く直らないかなー。


・・・・でも、ここの人たち、ほとんど良い人達ばっかりだった。

こんな見ず知らずの私を置いておいてくれるなんて。

カエルはむかつくけどさ。

・・・むかつく、けど・・・。




「・・・悲しいわけないし」




ぽつり、と呟いた言葉は簡単に空気と混ざって消えていった。


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一応補足
1ページ目に出てきたのは
ジャンニーニです




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